第9話  ママ、アムリット

荒峰拓斗のママは、荒峰絵美。(あらみね・えみ)

おじいちゃんは、大学教授でお婆ちゃんはお花の家元。

会社経営のパパとは、大学の時に出会って、大学を卒業と同時に結婚したんだ。


なかなか、子供に恵まれなくて、その手の治療をして8年目に僕が出来たんだって。

でも、僕には生まれつきの心臓に大きな障害があって、10年持つか分からないって宣告されたそうだよ。


それでも、僕は13歳まで生き延びた。


聞けば、昨日がこの世界のタクトゥール・ラミネスの14歳の誕生日だったようだ。


リムジットが生んだ子が、目の前にいるママと言う訳だ。


でも、リムジットは、金髪碧眼なのに目の前のママは、黒髪、黒い瞳。

何処の血が入ってるのって感じだ。

因みに僕も、黒髪と、黒い瞳だったけど。


「思うにね、タクトゥール。リムジット母さんは、魔王に食われる運命だったのではないのかと思うんだ。」

「なんで!?」

「その後の母さんの運命は、幸せとは言い難いものだったからね。

魔王に見初められた娘なぞ、何処の村にも受け入れられなかったというし・・・」

「此処にいるじゃん!!ここは平和なんでしょう!?」

「ここは、マークウェルのじい様が母さんのために開拓した土地だ。そこに、旅人が何人か定着したのさ。」

「マークは何処!?」

「私が、村の若者に恋をして結婚して、お前を授かったら出て行ったよ。生まれる子にタクトゥールと名付けるようにと、言い残してね。」


僕は堪らずに聞いた。


「それは、何年前のこと!?」

「15年前だよ。」



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