第5話 魔王、アグネクトを倒しに
マークは、満足げに頷いた。
「よし!!じゃあ、出発しよう。」
「え!?もう!?」
「当り前だ。こうしてる間にも、襲われてる人たちはいるんだからな。」
マークは、宿屋から荷物を持って来てた。
本当に最小限の荷物だ。
これで、よく旅なんてしていられるな。
と、僕は思った。
「魔物を倒しながら行くの!?」
「いや、お前の蹴りのエアボールは、かなりの威力だ。
もう、魔王のアグネクトを倒しに行くぞ。」
ひえ!!
僕は、チビりそうになった。
でも、マークと一緒なら、大丈夫な気がする。
うん、大丈夫だ。
僕は、落ち着いてマークを見た。
「うん、マーク、行こう。」
僕は、覚悟を決めた。
「魔王は、何処にいるの!?」
「ゴンガガ山の洞窟だ。ここから、真っすぐに南だ。風に乗っていくぞ。
風の精霊、大将。飛んでくれ。」
マークが喋ると、風が吹いて僕たちは、ふわりと空に浮いた。
そして、宙を飛んで移動して行った。
「何!?これ」
「魔法だよ、これが普通の魔法だ。俺は、風の精霊使いなんだ。」
「ふ~ん。」
魔法・・・
剣とか鎖帷子とか、魔王とか・・・
此処は本当にゲームの世界の中みたいだな~
♦
ゴンガガ山は、火山なんだ。
火口から、少し離れた洞窟があった。
アグネクトは、そこにいた。
溶岩の向こうに。
落ちたら、死ぬよ。
そんな事は気にせずに、マークは溶岩を飛び込んでアグネクトの前に飛んで行った。
《なんだ!?お前たち!!》
叫び声に近い声で、アグネクトはマークに向かって、火を吹いてきた。
それにも華麗に、ジャンプでかわすマーク。
「タクト、例の蹴りのエアボールをやってくれ!!」
目をひん剥いてビックリしている僕は、我に返った。
そうだ、此処は現実の世界じゃないんだ。
ようし、特別大きな石を蹴ってやろう!!
僕は、大きな石を想定して、思い切りキックをした。
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