第5話  魔王、アグネクトを倒しに

マークは、満足げに頷いた。


「よし!!じゃあ、出発しよう。」

「え!?もう!?」

「当り前だ。こうしてる間にも、襲われてる人たちはいるんだからな。」


マークは、宿屋から荷物を持って来てた。

本当に最小限の荷物だ。

これで、よく旅なんてしていられるな。

と、僕は思った。


「魔物を倒しながら行くの!?」

「いや、お前の蹴りのエアボールは、かなりの威力だ。

もう、魔王のアグネクトを倒しに行くぞ。」


ひえ!!

僕は、チビりそうになった。

でも、マークと一緒なら、大丈夫な気がする。

うん、大丈夫だ。

僕は、落ち着いてマークを見た。


「うん、マーク、行こう。」


僕は、覚悟を決めた。


「魔王は、何処にいるの!?」

「ゴンガガ山の洞窟だ。ここから、真っすぐに南だ。風に乗っていくぞ。

風の精霊、大将。飛んでくれ。」


マークが喋ると、風が吹いて僕たちは、ふわりと空に浮いた。

そして、宙を飛んで移動して行った。


「何!?これ」

「魔法だよ、これが普通の魔法だ。俺は、風の精霊使いなんだ。」

「ふ~ん。」


魔法・・・

剣とか鎖帷子とか、魔王とか・・・

此処は本当にゲームの世界の中みたいだな~





ゴンガガ山は、火山なんだ。

火口から、少し離れた洞窟があった。


アグネクトは、そこにいた。


溶岩の向こうに。

落ちたら、死ぬよ。

そんな事は気にせずに、マークは溶岩を飛び込んでアグネクトの前に飛んで行った。


《なんだ!?お前たち!!》


叫び声に近い声で、アグネクトはマークに向かって、火を吹いてきた。


それにも華麗に、ジャンプでかわすマーク。


「タクト、例の蹴りのエアボールをやってくれ!!」


目をひん剥いてビックリしている僕は、我に返った。

そうだ、此処は現実の世界じゃないんだ。

ようし、特別大きな石を蹴ってやろう!!


僕は、大きな石を想定して、思い切りキックをした。

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