第35話 野菜食べてて偉い


「とりあえず、入ってみる?一応喫茶って書いてあるから飲食店のはずだけど」


「なるほど。早く入るぞ」


 おおっ。めっちゃお洒落な空間。昭和レトロな感じがする。しかも結構人いる。外からじゃよく見えなかったんだよね。


「いらっしゃいませ。何名様でしょうか?」


「3人です」


「では18番のテーブル席へどうぞ」


 えっと18番18番……あ、あったあった。とりあえずメニュー見ますか。

 ……ここ喫茶店だよね。うん。なのに中身は普通にレストランって。ハンバーグとかステーキとか色々あるんだけど。私が思う喫茶店は、なんかお洒落なランチとコーヒーみたいなイメージなんだけど。まぁ、薄々お客さんの食べてるの見て気がついたけどさ。


 ま、とりあえず私は、チーズインハンバーグでいいかな。というか、この世界にチーズインハンバーグなんてあったんだ。私の覚えだと、レミストアだっけ?そこの街はあんまり美味しい食べ物がなかった気がするんだけどな。


「妾はオムライスというものにしてみるのじゃ。名前からしてこいつは美味しいに決まっておる」


「レイちゃんはオムライスね。クルハはどうする?」


「そうですね……私はこのミートソーススパゲッティにします」


「おっけー。他に食べたいものある?例えばデザートとか」


 パンケーキにパフェ、団子に餡蜜……うん。色々あるね。

 私はマンゴーパフェにしよっかな。マンゴー好きだし。


「ほしいのじゃ!」


 レイちゃんはいると。分かったから目を輝かせないで。眩しい。


「妾はこのチョコレートケーキにするのじゃ」


「なら私も……私はこのシュークリームにします」


 レイちゃんがチョコレートケーキでクルハがシュークリームね。


「じゃ店員さん呼ぶね。すいませーん」


「注文ですね」


「分かりました」


「まず、チーズインハンバーグ、オムライス、ミートソーススパゲッティを一つずつください。あと、食後にマンゴーパフェとチョコレートケーキ、シュークリームを一つずつください」


「承知しました。確認しますね。チーズインハンバーグ、オムライス、ミートソーススパゲッティ。食後にマンゴーパフェとチョコレートケーキ、シュークリームでよろしいですか?」


「はい。お願いします」


「では少々お待ちください」


「ご主人様」


「どうした?」


「フューリンの街なんですが、ジャーパンの国の街なんです。結構観光地として人気なんですよ」


「つまり、ハルト公国からここへ来たってこと?」


 めっちゃワープしてきたってことか。確かに言われてみれば、ハルト公国は結構暖かかったけど、ここは結構肌寒いしね。


「そうです。私はそのことに何か引っかかってて」


 クルハに何か思いあたりでもあるのかな。


「詳しいことは分からないのですが……」


「今日の朝の『嫌な感じ』と同じ感じ?」


「そうですね。それと似ている感じはあります」


「ぬぁぁ、めんどくさいのじゃ。妾は早くご飯が食べたいのじゃー」


 それはそうかも。もう午後の1時だしね。しかもいつもは11時半くらいには食べてたし。まぁ、いつもよりもお腹が空くのは当たり前かな。


「気長に待ってなよ」


「しかしのぉ」


「こーゆーとこが子供っぽいんだよねぇ。可愛い」


「いやぁ、あんまりお腹は空かんのぉ。うん。全然お腹が空いてないぞ」


 こんなところもだよね。


「じゃあ、お昼ご飯いらなないい?」


「待て待て待て。いるのじゃ。いるからお昼抜きは辞めてくれ。空腹に苦しむのはもう懲り懲りじゃ」


「はいはい」


「お待たせしました、こちらチーズインハンバーグ、オムライス、ミートソーススパゲッティになります。鉄板は大変暑くなってます。やけどしないように注意してください」


「はーい」


 ではいただきます。ナイフでハンバーグを切ってと。そしてハンバーグをチーズを絡めて頬張る。美味しい。やっぱ、チーズインハンバーグは美味しすぎる。


「美味しいのじゃ」


 レイちゃんも喜んでくれてるね。


「美味しいです。まぁ、ご主人様の手料理の方が美味しいですが」


 クルハぁ。なんていい子なんだろ。可愛くて強くて物知りで優しくてもふもふ。これもう完璧でしょ。


「それはわかるぞ。何かレーナの方が美味しいのじゃ。何かまでは分からないが」


 レイちゃんもいい子じゃん。


「レーナ。ちょっとそのチーズインハンバーグ少しくれないか?」


「いいよ。食べな」


「ありがとうなのじゃ」


 美味しそうな顔で食べるね。よっぽどお腹が空いてたのかな。ま、こんなパクパク食べてる姿も可愛いんだけどね。


「どうかしたか?そんなジロジロ見おって」


「いや、何でも無いよ」


「ならいいのじゃが」


 しかし、レイちゃんってば付け合わせの野菜だけ綺麗に残してるじゃん。


「レイちゃん、ちゃんと野菜も食べないと」


「うぐっ」

 

 いやいや、うぐっじゃなくて。


「ちゃんとお野菜も食べないと体に悪いよ?」


「嫌なものは嫌なのじゃ」


「太っても知らないよ」


「ぐぬぬぬ。仕方ない。食べるか。今回だけじゃぞ?本当にこのピーマンとかいうのが苦くて不味くて嫌なのじゃ」


 そう言ってても、野菜食べてて偉い。

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