第33話 回復とご飯


「とりあえず、回復しますからじっとしててください」


「いいんですか?そんなことまでしてくれて」


 見てて痛々しい気持ちになっちゃうし。


「いいですって」


「し、しかし……」


「はい、回復しますね」


『キュア』


 ふう、体の傷全て無くなったね。凄いな光魔法。めちゃ便利。


「腕の欠損まで治せるなんて。貴女はまさか、伝説の聖女様でしょうか?」


 聖女って。これは、ラノベで言うところの人々を助けてたらいつのまにか聖女になってました展開のやつじゃん。私知ってる。


「全然違いますね。むしろ聖女なんて呼ばないでください」


「すいません。分かりました」


 もう一人にも『キュア』


「これで大丈夫ですね。とりあえず何があったんです?すごく気になるんですけど」


「そうですね。命の恩人ですし、パーティーリーダーの私が話しましょう。まずは、自己紹介からですね。私は『金ノ風』のパーティーリーダーのメリスです。一応、Aランク冒険者です」


 赤髪の女性がメリスさんね。ぱっと見凄い優しそうな印象があるね。


「続いて私ですね。私はルカです。よろしくお願いします。先ほどは腕の欠損を治してくださりありがとうございました」


 緑髪の方がルカさんと。なんかお姐さんぽさがある。


「メギストスだ。よろしく」


 黒髪で筋骨隆々の方がメギストスさんね。強そう。だから、負傷もしずにかすり傷くらいしかないのかな?


「僕は、リョウです。よろしくお願いします。後、先ほどは助けて頂きありがとうございます」


 なんかきょどってる黒髪の人がリョウさんね。


「では、自己紹介も済んだことですし、ざっくりとですが何があったか話そうと思います」


「まず、依頼でオルトロスがこの森、『レイフーンの森』に出現したとのことで私たちがここに緊急で駆り出されました。そして実際にオルトロスがいて、今の状態になったというわけです」


「あそこでメギストスが注意を逸らしてくれたので九死に一生を得ましたが、ここは本当に危険です。朝になったらすぐにここの森を出ることをお勧めしますよ」


「分かりました。悪いんですが、近くの街までご一緒させていただけますか?私、あまりここの辺りの地形とかがあまり分かっていないので」


「もちろんいいですよ。では、明日の朝、出発しましょう」


「はい」


「あ、そうそう、今はテントで仲間が寝てるってことだけ伝えておきますね」


「あ、了解です」


「では、おやすみなさい」


「おやすみなさい」


 ふぅ。とりあえず私も寝よっかな。明日に備えておかないといけないし。


 クルハを抱き枕にしてと。じゃ、おやすみなさい。


◇ ◇ ◇ ◇ ◇


「おはよー」


「おはようございます。ご主人様」


 うん。よく眠れた。朝は良いよね。クルハの眠そうな顔を見れるし。かわいい。


「おはようなのじゃ」


 レイちゃんも起きてるっぽいね。じゃあ、朝ごはんの準備しますか。と言っても、準備してたフレンチトーストなんだけどね。三食分用意してあるし、金ノ風の方々にもあげようかな。


「すいませーん」


「どうしました?」


「朝食を振る舞おうと思ったんですけど」


「そんなことまでしていただけるのですか?何から何まで本当にありがとうございます!」


「大丈夫ですよ。余らせる方が勿体無いですし」


「では、お言葉に甘えて」


 準備するって言っても人数分のフォークを準備するだけなんだけどね。あ、取り皿も必要かな。


「どうぞー」


「これは何という料理なんですか?私はあまり見たことが無いのですが……」


「あーこれはですね、フレンチトーストという料理ですね。パンに卵を絡めて焼いた物ですね」


 お店のフレンチトーストはもっともっと美味しいんだけどね。


「そうなんですか。で、では、頂きます」


「ぼ、僕も頂きます」


 ささー召し上がって。私たちの分は予め取っておいたから大丈夫だし。じゃ、私もいただきます。

 うん。美味しいね。やっぱ、アイテムboxに入れてたおかげで出来立てが食べれて美味しい。何より、良いパンを使ってるおかげかパンが凄いふっくらしてる。そうそう、メープルシロップとかをかけても良いけど、私としては、普通より結構砂糖を多めに入れて甘くしてる。こっちの方が個人的に好きだし。


「これ、すっごく美味しいですね。まさか、こんなにもパンが美味しいとは思いませんでした」


 確かに、この世界のパンは保存用に作られててお世辞にも美味しそうとは言えないほどだったし。メリスさんの言ってることも分かるかも。


「確かにそうだな……このパンは非常に美味い。さらにこの卵が甘くて美味さが増してるな」


 メギストスさんに、美味しいとお墨付きを貰いました。嬉しい。


「私もこれはすっごく美味しいと思います。何より、こんな甘い物は初めて食べたかもしれないです」


 それも分かる。あんまり美味しそうな甘味が少ないし。でも意外とドライフルーツが美味しかった。今度ドライフルーツで何か作ろっと。


「ご主人様。何か嫌な予感がします」


「嫌な予感って?」


「何かはわかりませんが、兎に角嫌な感じがするんです」


「分かった」


 

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る