第27話 次なる階層

「ねえこれ上の階層あると思う?」


 流石に二日以上はここの階層にいるんじゃないかな?


「確かにそうですね。どれだけ探しても上へと続く道がないので、下の階層に行くしかないですが」


 ていうかクルハって、少し口調が柔らかくなっただけで敬語というか、丁寧言は外さないんだね。国語勉強してないから分かんないけど。ま、タメで呼んでくれたらもっと嬉しかったけどね。こっちの方がクルハらしいけど。


「これはもう最下層のボスを倒すしか道はなさそうです」


 最下層行きますか。流石にずっとこの階層に止まっているわけにもいかないし。確か、次の階層へ行くにはセーフティーエリアにある赤色の魔法陣に乗って『転移』って念じれば良いんだよね。クルハが教えてくれた。

 ちなみに上の階層に行くにはどこかにある白色の魔法陣を踏んで『転移』と念じれば良いらしい。なんでその魔法陣をセーフティーエリアに置かなかったんだろ。無駄話はここまでにしてさっさと転移しますか。


『転移』


 次は平原っぽい。ほっ、見やすいとこでよかった。しかも、太陽もあるし。朝、昼、夜の概念はあるのかな?これで、めっちゃ暗い洞窟だったら泣いてたかも。決して暗いのが怖いわけじゃないよ?別に光魔法で照らせるし。精神面で心配なだけだから。

 あ、魔物がいる。


【ホーンラビット】


極めて一般的な魔物。初心者でも倒せるため、広くわたって食べられている。美味。


 あれ?魔物弱くなった?

 って、あれ?おかしくない?本当に初心者でも倒せるの?どう見ても猛スピードでこっちに近寄ってきてるんですけど。


「ク、クルハ?ホーンラビットってあんな速く近づいてくるものなの?」


「いえ、かなり遅かったはずですが」


 え?


「じゃああれは?」


「まあ特殊個体とかでしょう。多分。もしくはステータスが超大幅に強化されてるかですかね?」


 フェンリルの次は雑魚魔物(超大幅強化済)ですか。一応、剣技スキルのLVがマックスのおかげで、反射的に処理できたけどさ。これは、初見殺しにも程があるでしょ。まあ、猛スピードで迫って来たら分かるだろうけど。で、ドロップ品は?あ、言うの忘れてたけど死体は消えてるよ。謎だね。

 えっと、見た感じめっちゃでかいオオバコの葉っぱかな?とりあえず鑑定。


【メラス草】


 エリクサー(超万能薬)の素材の一種。魔力が多いところにしか生えないため、かなり希少。


 エリクサーの素材だってさ。光魔法で怪我や病気は回復できるし、使わないかな。それに、素材が一通りも揃ってないからね。当分はアイテムboxに眠っててもらおうかな。

 てか、ここがダンジョンなこと忘れてた。


「とりあえず、安全地帯目指そっか」


「そうですね」


 武器とスキルのおかげでサクサク倒せる。ただサクサク倒せるのは良いんだけど、ドロップ品が出ない。三十体中四体しかドロップしてない。しかも、そのドロップ品がメラス草って。私って運ないなー。一応ステータスだと一般人よりも遥かにあるんだけどね。

 もしかして運ってドロップに関係ない?めっちゃ関係してそうなのに?


「クルハ?流石にドロップ品少なくない?」


「そうですか?そもそもメラス草がドロップする時点でかなりすごいことなんですよね」


 別にそうでもないんじゃない?魔力過多地域を探せば良いだけだし。


「メラス草って、魔力暴走域にしか生えないんですよ。そして、エルフ族以外ほぼ、メラス草が生える場所に入れないんです。入ってしまうと……正確には触れてしてしまうとですかね。エルフ族以外が触れると魔力暴走を起こして死んでしまうんです。なので、エルフ族にしか取ることしかできません」


 エルフ以外触れるだけで死ぬなんて。怖すぎるでしょ魔力暴走域。だからメラス草は貴重ってことね。なるほど……私ならワンチャン大丈夫なのでは?種族ハイヒューマンだし。いや、やめといた方が良さそう。入って大丈夫って確証もないしね。


「メラス草って一枚売ったらどんくらいで売れそう?」


「そうですね……白金貨三枚くらいでしょうか」


 うん。よくわかんないけどすごい値段ってことだけはわかる。だって、白金だよ?白金。これだけで高いってわかっちゃう。流石白金。


「それって高いの?」


「そうですね……辺鄙な所にある小さい国の一年の国家予算分くらいですかね」


 まさかの国家予算と同じくらいの物持ってた。でも、国家予算とエリクサー一本って釣り合わないんじゃ……ま、まぁ?命が大事だし、きっと使う人もいるのかな?あとは、国の貴族とか王様とか。

 どっちにしろ、めちゃくちゃ高いってことだけは分かった。そして、これを世に出してはいけないこともわかった。こんなん出したら、大騒ぎになりそうだし。

 ごめんメラス草。一生アイテムboxで眠ってて。


 そういやさ、ステータスってどうなったんだろ。


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【名前】レナ(女)


【種族】ハイヒューマン


【職業】冒険者


【年齢】14歳


【レベル】10


HP 101,000/101,000

MP 121,200/121,200


力   1,100

生命力 3,100

器用さ 4,100

機敏さ 2,100

知性  40,100

魅力  12,100

運   3,100



【加護】


アヌビスの加護


アトゥムの加護


クヌムの加護



【固有スキル】


転生者

Lv Max


異世界物作製

Lv 3



【スキル】


鑑定 

Lv Max


アイテムbox

Lv Max


ステータス工作

Lv -


魔獣契約

Lv Max


自動翻訳

Lv -


五大元素魔法

Lv MAX


剣技Lv Max


闇魔法Lv Max


光魔法Lv Max

________________________________________________________________________


もしかして何も変わってない?


「クルハ、結構私魔物倒したよね?」


「はい。十五体以上は倒してたような気がします」


「Lvが1すら上がってないんだけど」


 おかしくない?


「あー、大変言いにくいんですけど、ステータスだけ強化されてると、元の経験値は変わりませんよ?」


 何そのめんどくさい仕様。優しくないなぁ。

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