第6話

         ◇


 久し振りに日本に帰って来た。

 二ヶ月振りの日本は百八十度違って見えた。

 周りのものは全てどうでもいい。雑音しか聞こえない。

 こんなに変わるものか、と思った。

 否、周りが変わったのではない。

 私が、私だけが、変わったのだ。

 家は父と母が消えただけで、外観は全く変わらない。

 執事のセバスチャンが淹れる紅茶の味も変わらない。ただ、それが美味しいのかは分からない。

 伯父や伯母、従兄妹も変わらない。

 多分、優しく接してくれているのだろう。

 でも、どう対応すればいいのか分からない。

 分からない……。分からない…。分からない……。

 自分が分からない。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る