【ノルン - 10】少女はハイエルフの里に寄る
※2 少女は夜逃げする から続くノルンの昔話です。【ノルン - 13】まであります。
リリシュタインから女神教皇国のさらに向こう側の国までノルン、セレスティーナ、オリヴィアの3人で来ていた。
商会の黄金時代の遺産、魔導車を走らせ4日。舗装された道もない現在、道なき道をオフロード車の様に走らせようやく到着した。
「おえ〜きっつい」
ノルンは気分を悪くしていた。
不老不死で傷はすぐ治るし歳もとらないがこういうのは直ぐには治らない。不老不死故に鍛えられないし変わらない。三半規管が狂わない術式と魔道具を開発しようと決心する。
「オリヴィアちゃん、運転うまいっすね。ハンドル持つと性格変わるっすか?」
「ふふふ、セレナさん実はよく運転してるんですよ。魔モノを跳ね飛ばすのが好きです」
セレスティーナは猫耳獣人故に三半規管が強い。
オリヴィアに至っては慣れててなんか強い。
身体的な成長の出来ない不老不死のデメリットをノルンは久々に感じていた。
しばしの休憩を挟み、この国についてオリヴィアが説明をしてくれた。
この国というより領土はどこの国の持ち物でもなく現在は獣人、エルダーフェアリー、ハイエルダーフェアリーといった種族によって実行支配されている土地だった。
種族毎に連合を組んでユニオンの様なものを形成しているが種族毎に別れて暮らしているそうだ。
遺跡は彼ら彼女らの聖域となっている。
「ふ〜ん、エルダーフェアリーねえ……」
「あ、わかります?長いっすよね。でも長ったらしいんでエルフって言うと怒るんすよ奴らは」
「まあエルフっていったらそんな誇り高い種族ってイメージだし仕方ないんじゃないの?あなたは半分ハイエルフなんでしょ?」
白銀の髪に紅い目がハイエルフの特徴である。更には猫耳というなんかズルいセレスティーナをみてノルンはそんなことを思い伝えた。
「いや、ハイエルフはめっちゃ穏やかっすよ。もうハイエルフでいいよな長えし!って感じなんすよ〜、でもエルフはハイエルフと比べられることに劣等感持ってるんすよ。エルダーフェアリーだとかいって、なんか面倒なやつらっす。」
「そっか〜、まあ会うのが楽しみね」
「やめといた方がいいっす、まじでいいことないっす。人間を見下してるっす」
それはそれでエルフっぽいなとノルンは割とエルフに会えることを願っていた。
この時は。
遺跡まで案内する前にハイエルフの長に挨拶して許可を貰わなきゃいけない。とのことで3人はハイエルフの里に赴いた。
「ひさしぶりっす!ユーリちゃん!」
「セレナちゃんかい?久しぶりじゃの〜。」
セレスティーナが挨拶したのはハイエルフの長らしい。白銀の髪に紅い目はセレスティーナと共通で猫耳はない。やはりズルいなセレナ、とノルンは思った。
見た目はノルンたちと変わらないが200歳を超えてるらしい。
ノルンは、ほえ〜すごい!と興奮したが自身がそういえば1400年を超える歳月を生きてきたことを思い出し、スンと真顔になる。
「ユーリちゃん遺跡行ってきていいっすか?」
「ええよ、これ解除キーね。気をつけて行ってくるんじゃよ」
「ありがとっすユーリちゃん」
と緩い流れで明らかに魔導科学的要素満載のセキュリティカードをゲットしセレスティーナは戻ってきた。
「ね、めっちゃ緩いっすよねハイエルフ」
「うん、なんか故郷の田舎を思い出すわね。適当というか」
前世の田舎を思い出し懐かし気分に浸っていた。
「ノルン先輩って前世どこ出身なんすか?すっかり忘れてたっすけど月詠流兵――」
――その時
「なんでここに人間がいるんだ」
誰かが立ちはだかる
その台詞を吐いた声の方向をみれば
「うっわ、出たっす。」
「もしかして?」
「もしかしてっすよ」
緑色の髪の毛、青く輝く瞳、尖った耳の男がいた。
「わ〜エルフだ(ボソッ)」
ノルンはテンプレに近い対応をしてくれたエルフに感激していた。
ハイエルフは猫耳はあれどセレスティーナを見慣れてるせいで特段感動は少なかった。更には猫耳がないのと緩さで、前世の田舎を想像してしまった故にの感動の少なさだ。その反動で感動が乗算されていた。
「おい人間聞こえてるぞ、我らはエルダーフェアリーだ――」
おお〜!っと期待通りの回答に感動していた。
「――そこんとこ、間違えるなよ」
上半身を謎躍動感で反らし髪をかきあげ謎ポーズを決めそう告げた。
ノルンはガッカリして真顔になり口元をキュッと締める。
「ね〜、わかるっすか?ネチネチ言うくせにアレがほんとウザいんすよ。」
「人間の国に落ちた混ざり者らしいな?聴こえてるぞ!ユーリ様にさっさとそのカードキーを返してこい」
また謎の動作とポーズで謎の要求をする
「なんなんすか?なんでそんなこと言われなきゃいけないんすか?」
結構ひどいことを言われたセレスティーナは若干キレ気味で言い返す。
「我々だって入ったことないんだぞ!それをお前らが入るなんて許されない!」
セレスティーナがノルンをみて、あいつやばいっしょ、と小声で伝えてくる。
「ガキが舐めてっと痛い目に遭うっすよ。早く帰れっす」
セレスティーナが半ギレになりながら、前に出る。
これが戦争が生み出した悲しい遺産なのかも知れない。ハイエルフやセレスティーナをみた時はこんな人達なら穏やかに暮らして欲しい。そんなことさえ思ったがエルフに怒るセレスティーナをみてノルンはそれがよくわからなくなっていた。
「ノルンさま、大丈夫ですよ」
ノルンの様子がおかしいと気づいたオリヴィアはノルンに寄り添った。
「ありがとう、私は大丈夫。」
受け止めると決めたのだ。ノルンはそう言い聞かせた。
「おい、ガキ、覚悟は出来てるんだろうなっす――」
ノルンよりもエルフを知ってるからかセレスティーナはブチ切れ寸前だった。彼女をここまで怒らせる人も珍しい。
「なにしとるんじゃ」
「――ユーリ様……!」
「――ユーリちゃん!」
助け舟かの様にユーリが現れた。
「おい、エルフのモヤシっ子。そこのセレナちゃんが大聖女でお前んとこの里の瘴気を浄化して、傷負ったお前の親を助けたことも知らんのか?色々とその後の世話もしとったんじゃぞ」
「ユーリ様、それは」
「そんな里の恩人になんてこといっとるんじゃ!お前の親達も口は悪いがセレナちゃんには敬意をはらっとったよ!それなのにお前ときたら!――」
ユーリの説教タイムは続く――
ハイエルフの長ユーリが現れたことでセレスティーナが賢者タイムに突入する。
「小声で話すっすけど、エルフは口は悪いしウザいすけどあそこまでの馬鹿はいね〜っす。」
ノルンはエルフの男をみる。よくみればユーリに叱られながらもどこか嬉しそうではないか?頬を赤らめ偶にニヤっとする。
ノルンは気づいてしまった。
「あ、あ〜、ユーリちゃん可愛いもんね」
「ノルン先輩気づいちゃったっすか?あのガキをみかけて、なんでハイエルフの里にいんだ?って他の知り合いに聞いたらそうらしいんすよ……私的にはユーリちゃんの周りウロチョロされるの嫌だしそもそも普通にエルフ嫌いなんで感情的になってしまったっす。混ざり者とか言われたし」
セレスティーナは普通にエルフの男が嫌いらしい。
この光景をみたノルンは少し救われていた。
戦争の遺産故のエルフの特性なのかもと思った
エルフの男も恋をして失敗をして、叱られて――
それは叶わないかもしれない。
でもそれは戦争もなにも関係ない
ありふれた日常の一コマでしかない。
まだ若いエルフなのだろう。
口の悪さは変わらないかもしれないが成長はする。
これを乗り越えて成長してほしいな、なんてノルンは願っていた――
「そんなに言わなくたっていいだろ、こ、このババァ!!!」
「な、お前、いまババァって言いおったなあ!」
ユーリがキレる。
恐らく恋は叶わない。
そう気づいてしまった。
だから感情が爆発してしまったのだろう。後から後悔するパターンだな。
ノルンはそう思った。性別関係なく後から後悔してる人を前世でも商会内でも何度も見たことがあった。
穏やかなはずのユーリがキレて魔法を放とうとするがエルフの男は逃げ出した。
だがハイエルフ達がどこからともなく現れ、エルフの男はグルグルに布で巻かれ運ばれていった。
「ユーリちゃん大丈夫っすか?」
「あのガキが……きつく当たっても大人気ないとおもっての、でも最近チョロチョロ鬱陶しかったんじゃ。儂、結婚してラブラブじゃのになんなんじゃ。」
「ほんとそれっすよね、あいつどうなるっすか?」
「やつはエルフの里に送り返してうちの里は出禁じゃ。さっき簀巻きにしてたのはダーリンじゃ、てへ」
「わ、ユーリちゃんかわいい!でもそういうとこが人気で人を狂わすっすよ」
ノルンもソレは少し思った。
ハッキリ言わないとその気もないのにイケるのかも?なんて思わせてしまうことだってあるだろう。それでストーカー被害、なんてよく聞く話だ。ノルンはそう考えうんうんと頷く。
「そんなことないじゃろう」
「あるっすよ、まあノルン先輩ほどじゃないっすけどね!あははは」
「現在ですとノルン様は
「オリヴィアちゃん、それ
ノルンは真顔で呟いた。
「そういう振り方ほんとやめて」
〜〜〜〜〜〜〜〜〜
ここまで読んでくださりありがとうございます!
ノルンを応援したい!
ノルンがんばれ!強くいきて!
ノルンかわいい!
オリヴィアもっと出せ!
セレスティーナがんばれ!
という方は
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