10 錬金術師は大きく溜息を吐く

※今回、説明とか多くて核心みたいな普通であれば終盤に持ってくるような説明入りますが今後の展開や物語や世界感的に先に説明しないと意味わからん!ってなりそうなのでクドく書きました。バトルとか早く書きたいですね(爆)作者コメ


 倒れた綾乃と玲を介抱する為にノルンは移動用コテージを異空間収納から取り出した。平建ての小さなコテージだが休息には十分だろう。


「しれっと家とか惑星ノエル向こうでも取り出してましたけどノルンさん達って手ぶらで出かけても困らなそうですよね」

下っ端アンナ惑星ノエル向こうで私を覗いてたのか?」

「結構見てましたよ。ノエル様ほどでもないですけど」

「あんまりよくないわよアンナ、そういうのは、見てたとしても言わない方がいいわよ」

「す、すいません……ノルンさん二人はどうですか?」


 ノルンが隣の部屋に二人を寝かせ、戻ってきたところだった。ちなみにノルン達がいるのはダイニングだ。

 ちなみに猫達と龍は外で休息している。


「二人とも疲労が溜まってるだけみたいけど、疲労は疲労でも重症ね。あと2人とも少しだけ魔素アレルギーみたいな反応があったわね」

 死と隣あわせで極限の状態で活動していた2人は生き延びた安心感からぷつりと糸が切れた様に倒れたのだった。


「アレルギー……そうですね……彼女達は魔素フラッピングエーテルに晒された地球になってからまだ2年ちょっとですからね。」


「……2年って私が、前世の私の命日から2年前ってことよね?魔素フラッピングエーテルがあった様には思えないのだけど……」


 なんとなくノルンは思っていること、予想していることがあるのだが、認めたくない故にあくまでという体で話を進めた


「あ、いや……それは……」


「まあ、いいよ……」


「はい……話を戻しますがそもそも現在の地球人類ではまだ魔素フラッピングエーテルに適応出来てない為に毒と同じです。だから自分が適応出来ないレベルの魔素が濃い環境だとアレルギー反応がおきやすいですね。それと地球のステータスシステムですが……――」


 アンナ曰く、地球のステータスシステムは魔素フラッピングエーテルに適応出来てない地球人類及び地球生物を守る為の保護機構であるらしい。これは前にも少しだけ説明していた内容だ。

 ステータスシステムという結界で生物をコーティング、保護し魔素を必要以上に取り込まない様にした。それはレベルキャップだ。

 そして経験値という名目で魔素フラッピングエーテルを取り込み徐々に慣らしていく。

 それを繰り返し魔素フラッピングエーテルの適応したとステータスシステムに認められたらレベルアップし強くなるという仕組みだ。

 強くなるというよりは現地球人類だとなのである。

 例えば魔素フラッピングエーテルが無かった地球人類と魔素が元々あった惑星ノエル人類ではスタートが違う為に地球のキックボクシングチャンピオンが惑星ノエルの子供に挑んでもどうやっても勝てないレベルに差は開いている。

 地球人類が本来のスペックに戻る適応する為のステータスシステムでもあるということだった。


 アンナはノルン達にここでは語ってはいないがそもそも地球生物も惑星ノエルの生物も祖を同じとした同一の生物である。


「――それにこの緋神山地周辺はラストダンジョンよりもヤバいレベルの裏ダンジョンレベルなので魔素が相当濃いんですよ。だから今の地球人類ではまだ此処に来るのは無茶なんですよね。この辺に住んでたらまたちょっと違いますが。」


「あ〜なるほどね、魔素から地球人類を保護する為のステータスシステムなのね。ん〜?それだと惑星ノエル出身の私のステータスが身体能力10固定のままっておかしくない?」


 ノルンは納得いかなくてアンナにぶうを垂れた。


「あ〜、惑星ノエル向こうでノルンさん本当は10以下なんですよ……不老不死のノルンさんのステータスを集計する都合プログラミング上最低10と表示しなきゃいけなくてですね……まあこっちでも10以上あればなんとか表示だけでも上げられたんですけどね……」


「私ってこっちでも10以下なの?」

「はい……向こうだと0.2だったのがこっちで7くらいに……まあ魔素に適応してるのでステータスなんてあんまり意味ないですよねお二人は」


 は〜、と大きく溜息を吐いた。

 ノルンは少しくらい夢をみたかったのだが叶わない様だ。


「じゃあクーちゃんの身体能力値は……」

「クーフィーさんも固定ではありますが元々のベースの身体能力が高い為に、ステータス上の数値は地球ではかなり跳ね上がってます。地球基準に合わせだけなので実際は変わりません。」


「あ、本当だ。なんか攻撃と防御が35倍くらいになってる。っていっても表示上だけで変わらないのか」


 クーフィーが自身のステータスをみて呟く。


「私って0.2だったんだ……」

「おねえちゃん……」


 ノルンはしばしなにも喋らず隣の部屋に移動していった。

 ノルンはこれまでにないくらいに落ち込んでいた。


 落ち込みながらも倒れた2人の介抱途中の為に戻ったのだが、綾乃と玲が外套のフードを深く被りマスクの様な布の魔道具で口や鼻を保護していた理由がわかった。魔素を吸い込み過ぎない様にしていたのだろう。

 ノルンは念の為に魔素を無駄に吸わせない様に綾乃と玲の周辺に結界を張った。



 ダイニングにいるクーフィーとアンナは

「おい下っ端アンナ、お前、なにか言ってないことないか?」

「なんのことですか?クーフィーさん」

「私も前世は地球で暮らしていたんだけどお姉ちゃんが言ってた地球の様子と、いまこの地球で起きた事象を比べると話があってないだろ。どうなってるんだ?」


 観測出来ない物や事象はどうやっても結論には結びつけられない。ノルンやクーフィーは惑星ノエルでは神の如き扱いをされていたがあくまで理屈と観測できる範囲、全て理論で説明出来る事しか出来ない。それも手が届く範囲までだ。

 だがこのノルンが言う事とアンナが言う事、いま現在いるこの地球に矛盾がある。


 可能性として

 姉の思い違い、これは多分ないだろう。というよりクーフィーはそもそも姉が大好きだし信じたい。


 予想したくはないのだが、前世の記憶というもの自体が誰かに作られたものということも考えられる。


 仮説だけなら無限に考えられるのだ。

 他に例えば別の次元にある地球で姉が知る地球とは別の世界。物語等では語られたりとよく聞く話だ。しかし理論で説明は出来ても手の届かない範囲だ。結論には結びつかないのだ。

 他にも地球と惑星ノエルの近似性から別次元の同一存在という線もある。


「ここはどこなんだ?」


「……ノルンさんやクーフィーさんがいた惑星ノエルも地球も同じ宇宙に存在する遠く離れた別々の惑星です。ですがクーフィーさん達がいた同じ宇宙の地球には戻ることが出来ません。その世界の地球では魔素が活性化しませんでした。そこにノルンさんやクーフィーさんが行くと不老不死でも、いや不老不死だからこそ生きていけません。普通の惑星ノエル人類でも長くは保ちません。そもそも不活性なんでこちらからあの宙域に干渉があまり出来ないんですよね。だから此処はということになります。」


「……???どういうことだ?ここは平行世界というやつか?」


 クーフィーはわけがわからず頭上に疑問符が浮かびは消えてを繰り返し、物語でよく聞くような想像しか出来なかった。


「平行世界ではありません。なにから話ましょうかね……例えば大きな木があるとします、それが宇宙とします。枝が分かれ色んな可能性として様々な世界があるとします。


それを枝宇宙branch of originateと呼んでいます。


平行世界とはその枝宇宙branch of originateを構成する糸の様なものが束ねられた太さのあるものだと想像してください。

同じ枝宇宙branch of originateを構成する一本一本が世界となり平行世界と呼びます。ですがその一本一本の差は素粒子レベルで使われる単位より小さな範囲で位置がズレてるとかそういうレベルで。一本一本の世界に差は無いといってもいいレベルです。


ですがその僅かな差が天文単位の確立、その中でも更に天文単位の確立でイレギュラーを生み出しそれに引きずられ大きく枝分かれし、文字通り枝宇宙branch of originateが生まれ分岐しました。


今、この地球時間で2年前に魔素が活性化しました。宇宙の摂理の流れで仕方がないことでした。活性化する前まではノルンさんやクーフィーさんがいた地球も同じ枝宇宙に属していました。此処と同じ枝を構成する僅かな差しかない一本だったんです。ですがその僅かな差で前世時代のノルンさんが大怪我をした後、枝別れをしたんです。


此処は枝別れした内の魔素が活性化した地球がある枝宇宙branch of originateの中です」


「ふ〜ん、そっか〜なるほどなあ、世界や枝宇宙についてはわかったが前世のおねえちゃんが大怪我したことで魔素が活性化しなかったってのは、わからないな」


「不活性化していた魔素が活性化する際に特異点が発生します。この宙域での特異点が2年前にちょうど前世のノルンさんがいた場所だったんです。それは素粒子よりも小さい僅かなズレが引き起こした偶然だったんです。

そのズレで活性化する際のエネルギーが前世のノルンさんにぶつかり、お話しますが大怪我をしました。

そして特異点も大きくエラーを起こし消えました。その特異点の先に惑星ノエルが繋がりその時点から前世のノルンさんは亡くなるまで引っ張られ続けていたんだと思います。その周辺に半径50mくらいですかね?其処にいた方々も魂が抜けた様にその後、亡くなってます。惑星ノエルに転生したのもそれがキッカケですね」


「なるほどな……ということはこの世界に前世の私やおねえちゃんがいるということだな?」


「そうですね、にはいるにはいます……」


「そっか、それは楽しみだな」



 

 ――クーフィーは一応姉のことを考えてアンナと自分の会話を姉に聴こえないように結界を張っていた。姉にとってはセンシティブだろうし、姉がアンナに少し刺々しい態度であった為、どちらにも配慮したのだった。

 そのうち姉も知ることだろうが今じゃなくていい、前世から優しいクーフィーはそう考えていた。

 クーフィー自身がアンナに刺々しいのは素であり仕方がない。



 隣の部屋で綾乃と玲を見ながらノルンは呟く。


「こっちで初めて遭遇した人類がまさか2とはね……」

 

 2人はノルンが前世の時によく知る人物達だった。

 ノルンは今の地球は恐らく惨状といえる状況と推測している。それは当たっていた。

 そんな地球でこの2人がどれだけ大変だったのかは想像はたやすく出来ないが、楽なものではなかっただろう。



「今はゆっくりお休み、、玲。帰って来たよ、




〜〜〜〜〜〜〜〜〜

ここまで読んでくださりありがとうございます!


TSでした!


ノルンとクーフィーの活躍をもっと見たいぞ!

ノルンかわいい!クーフィーかわいい!

アンナがんばれ!


という方は

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