【ノルン - 2】 少女は一人になりたい
※2 少女は夜逃げする から続くノルンの昔話です。【ノルン - 13】まであります。
「オリヴィア……そろそろお家に帰ったら?いや、帰りなさい」
ノルンは無慈悲にも彼女へ言い放つ。
ホンワカマイペース姫も流石に自分のパーソナルスペースに入り浸っている彼女に思うところがあった。
言われた彼女はこの世の終わりかの様な表情で固まる。
1分ほどの間を置き口を開く
「……そ、そんな……ノルン様……それはあんまりです……それに私の名前はエルヴィアです」
「あ、あら……ま、まあ私からみたら8代目オリヴィアなのよ」
「それはそうですが世襲してるわけではないのです……」
「……はぁ〜エルヴィア……あのね……まあ少しお話をしましょう」
話の流れから気付いた人もいるだろう。
ノルンが旅に出て300年あまりが経った。
スケールのデカい話しに聴こえるが不老不死のノルンからすれば長いようであっという間の時間だ。
結局あの後、騎士娘3人と旅にでて仲良くなったが流石に父からの差し金とすぐ発覚。撒こうとしたのだが身体能力の低いノルンはすぐに追いつかれた。
ただよくよく考えると一人で旅をするのにも限界もあるなとノルンは考えた。そもそも臣民の税金を自分の事に使われたのが嫌だったこともあり彼女達を自分自身で雇おうと決心した。
ホンワカマイペース姫とはいえ気づくのが遅いだけで気付いてしまえばしっかりとケジメはつけたかった。
全てを捨てる覚悟で家を飛び出したのに結局家族におんぶにだっこでは自立が出来ない。かといって一人で飛び出したのも些か無理があったのでは?とも思っていた。
お金を稼いで騎士娘達を自分で雇おう
騎士娘達も餌付けされ……ではなく平和な騎士生活よりもそちらの方が面白いと考え騎士をやめて雇われの身となった。
ノルンがどうやって雇ったかと言えば、飲食店だった。
前世では特に料理が得意というわけではなかったが自炊くらいは出きた為に、料理がクソマズ世界のここでは知識で無双できた。
この世界の者がノルンの料理を真似しようにも誰も真似が出来ず、嫌がらせしようにも騎士娘達が10倍で仕返しするなどして味覚を独占していた。ただそれでは他のお店が潰れることを懸念しレシピ本出版、調味料開発にも手をだし飲食店だけではなく一つの商会として頭角をあらわしていた。実際にお金には困らなくなっていた。
商会の名は「ヴァルキュリア」
ノルンがノリで決めた。
ただ、ホンワカマイペース姫は表に出ないし飲食店でも厨房に籠もっていた。最終的には元騎士娘のマリーに料理を継承し任せた後はノルンは錬金術を活かして薬学を独学で学びながら日用品やちょっとした薬等の商品開発ばかりをしていた。オリヴィアが給仕長を経て営業やつまみ食い、しっかりしてるガーネットが商会を実質運営していた。
知識無双というチートが楽しくなっていた。
これで国も潤うしノルンも自立は出きただろう。
そうしている内に時間は経ち、実家の両親が亡くなる時は結局、看取りに戻ったりもしたが容姿が変わらない自分がいつまでもいるわけにもいかない……そう考えすぐに実家とは決別した。兄妹くらいは多少の繋がりは保っていた。
そしてマリーもオリヴィアもガーネットも看取った。その娘達が仕事を継承するのだがやはり時間は残酷で彼女達を看取った。
何代も彼女達を看取り自分だけが残されていく……
――つらい……
実際、当初の自立は達成出来ている。
特に商品開発は彼女達の子孫がもう出来ているし300年培ってきたノウハウの進化はもはや中世ヨーロッパレベルではない
錬金術を商品開発で学んでいくうちに不老不死ある故にどこまでも打ち込める面白さを感じていた彼女は、どこかで静かに研究するのも良いななんて考えていた。
「決めた!私、本気で隠居しよう!」
そもそも100年くらい経った時にはそう思っていたのだが気づけば300年経っていた。漸くである。
そしてノルンは一人で旅に出た……と思っていたが自分に懐いていた8代目オリヴィアであるエルヴィアがこっそり付いてきていた。
隠居する場所はリリシュタイン帝国の果てにある【死の森】と言われる大樹海である。ぶっちゃけると錬金術するには素材が集めやすい場所ではあるし今のノルンであれば特段危険というほどの場所ではなかった。
そこで拓けた場所をみつけここでいっか〜とマジックバックから自宅兼工房を取り出し基礎を打ち込んだ矢先、違和感なく神出鬼没にエルヴィアが現れ。当然の様に生活をしだす。
で冒頭に戻る。
「エルヴィア、もう私は商会から離れたの……それに私が旅に出る理由も周知していたはずだけど……」
「それはそうですが……」
エルヴィアは心配で付いてきたのもあるが食い意地が一番あったオリヴィア系譜の子孫、ノルンが直に作る料理が至高すぎてそれが目的に含まれていたりもする。厳密にはオリヴィアに子供はいなかった為、オリヴィアの実家の子孫だ
年長者ではあるがノルンのホンワカマイペース姫っぷりは相変わらずで歴代オリヴィアに世話をされていた。エルヴィアは世話しないで大丈夫かな?とも思っているしそれにいなくなってしまうのは寂しい。実際のところついてきた理由としてはそれが大きい。
「は〜、仕方ないわね〜……まあ貴女が死ぬまでよ……」
「本当に凄いセリフですね……流石リリシュタインの女神様!」
「あらやだこの子ったら〜、まあたまには家に帰りなさい。家族いるでしょ。看取るのは貴女で最後よ流石に。私は錬金術の研究でしたいことがあるから」
「ありがとうございます!家の方にはしっかり看取るのは私が最後だと言っておきます。最後までノルン様をしっかりお世話させていただきますね」
数十年が経過しノルンは独りになった
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