インスカ

ライブ会場である遊園地に到着した。

 とりあえずステージ裏の控室裏に挨拶に行く。

 主催者さんは、俺達も動画もチェックしてくれており、好印象だった。


「ことりノート? 随分ファンシーな名前じゃねえの」

「何ですか、喧嘩なら買いますよ」

「狂犬飼ってるねえ」

「す、すみません。こら、詩音。他のバンドさんにメンチを切るな」

 同じステージに出る人は一応、名前と代表曲くらいはチェックしてある。

彼らは「Infinity Sky」通称インスカというバンドだ。ボーカルの寺島さんとギターの皆川さんの二枚看板で売っている。メジャーデビューも近いと言われる。技術も高い。

 まあ他のバンドさんは置いといて、俺達は俺達のステージをやるだけだ。



「「「「ことりノート、ファイヤー」」」」


 ステージに上がる。

1曲目  「ディスカバリー」

   遊園地に合うマーチングバンド的な楽曲。


2曲目  「ジェリーフィッシュ」

     深海をテーマにした、少し不思議なメロディの曲。


3曲目  「チアフルフラワー」

    最後は青春ソング。聴いてる人を応援する曲だ。


「ことりノートでした! ありがとうございました! この後も楽しんで!」


 舞台裏で待機していたインスカの寺島さんが言う。

「前座、ありがとう」


その後のインスカのパフォーマンスには圧倒された。

いつもは毒舌で強気な詩音でさえ黙っている。

「すっごかったな! インスカ!」

 無邪気にはしゃいでいるのは響くらいだ。


「もう前座なんて言わせねえくらいに上手くならないとな」

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