ラップしようぜ!

ラップバトル

4月になった。

詩音が同じ高校に入学し、練習はしやすくなった。うちの学校は響が入学できたくらいだから、詩音も特別な勉強をすることなく入学できた。

「よろしくお願いします」

「ああ。よろしく」

「詩音、先生誰だった?」

「渡辺先生だったかと」

「良かったな、当たりだ。渡辺先生は優しいよ」

俺と響は今年も同じクラス、奏音ちゃんは別クラスだ。


「帰り、スターダストに寄ってくか!」

「いいですね。次のライブ予定とかも確認したいですし」


確認したところ、次のライブ予定は5月14日になった。 



 いつも通り音楽準備室での練習。

 突然、響がこんなことを言い出した。

「今までやってこなかったジャンルをやろうぜ!」

「今までやって来なかったジャンル?」

「ラップだ! 俺はラップをやる!」

「何でいきなりラップなんですか」

「昨日テレビでラップバトル見てさ、俺もやってみたくなったんだよ」

「そう言ってリリック書くのは姉さんか僕じゃないですか。面倒臭いんですよ、韻踏まないといけないし」

「じゃあ俺も書く! リリック俺も書く!」

「じゃあ、やってみて下さいよ」

「おう!」



「新曲、出来た」

「奏音ちゃん、すげえ!」

「小鳥遊さんは早くリリック作って下さいよ」

「う~、難しいんだよ」

「やっと分かりましたか、作詞の大変さが」

「ていうか、作詞なら、お前、即興で歌作れるだろ」

「すぐ忘れちゃうんだよ」

「どういう脳みそしてんだ」

「何か気になった言葉をすぐノートに書いておくんですよ」

「分かった」


奏音ちゃんの書いた新曲をYouTubeに上げ、トゥイッターに練習風景をアップする。

トゥイッターのフォロワーも、始めた頃に比べ、かなり増えてきた。

新曲は今までやって来なかったジャンルだが、概ね好評のようだ。


「あのさ、ラップの相談なんだけど……」

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