遊園地ライブ
YouTube
「俺達の楽曲をYouTubeに載せようと思うんだけど、いいか?」
「いいぜ!」
「宣伝になりそうでいいですね、姉さん」
「うん。いいと思う」
「じゃあ、早速YouTube用の動画撮るから、最高の演奏頼むぜ!」
何回か演奏し、一番良いのをそれぞれ上げていった。
「これを機にトゥイッターも始めてみようぜ! 宣伝大事!」
俺は演奏よりも、こういう広報活動で力になれそうな気がしていた。
トゥイッターのアカウントを新しく作り、ことりノートの紹介とYouTubeの宣伝ツイートをする。
「沢山の人が見てくれるといいな!」
「ああ」
意外とYouTubeの再生回数が伸びた。
それを見てくれたのか分からないが、DMに遊園地スタッフからの連絡が届いた。
3月に遊園地野外ステージで行われるライブに出てみないかとのことだった。
勿論、OKした。
「ライブのセトリどうする?」
「既存曲の方が無難だよな。最近はYouTube見てくれる人が増えてるし」
「YouTubeに新曲上げるのはどうです?」
「ああ、ライブで解禁じゃなく、か。確かに、事前に予習できた方がいいな」
「新曲、作れる」
「ありがとう、奏音ちゃん」
「YouTube、演奏してるのだけじゃなく、MVみたいなのも作れるとカッコ良くないか?」
ある日、響がこんな提案をしてきた。
「あ~、MVか。あれ、どうやって作るんだろうな」
「撮影スタジオとか借りるのではないですか?」
「あんま金かかるのは嫌だな。でも撮影も編集も俺達でやれるかどうか……」
「ライブの時の映像って残ってるんですか?」
「ああ、ライブ映像か。確かカメラ回してたような。それにリリック載せたりして……。行けるな。ライブ映像をスターダストから借りてくるか」
ライブ映像は自分達の所だけなら使っていいとビデオを貸してくれた。
それから俺達はコンピュータ室に行き、編集作業をネットで調べながら、見よう見まねでやってみた。それで歌詞付きのリリックビデオは完成した。
これもYouTubeでアップしてみると、中々好評だった。歌詞がちゃんと分かってからみると、ヤンデレ楽曲には「怖い」というコメントが増えたが。
「何か、詩音の歌詞はボカロっぽくもあるんだよな」
「ああ、ボーカロイドですか。僕はあまり詳しくないですが」
「絵が付いたMVとか出来ねえかな」
「私、絵描くの好き」
「ええ、姉さんは絵も描けるのです。さあ褒め称えなさい」
「奏音ちゃん、すげえ!」
「多才!」
練習の合間に奏音ちゃんが描いてくれた絵をチェックし、コンピュータに取り込んでいく。
文字を入れたり、絵にエフェクトを付けて動かしてみたりして、これもYouTubeにアップした。奏音ちゃんの絵のお陰か、この再生回数は更に伸びた。
そんなこんなで3月になった。
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