バンドを組もうぜ!
出会い
「バンド仲間暮集?」
部活動紹介の掲示板に手描きのポスターで、こう書かれていた。
「おいおい、マジかよ」
高校受験に失敗し、地元のさほど偏差値の高くない高校に進学し、最初に受けた洗礼がこれだった。俺はこんなレベルの頭の奴と一緒に学んでいくのかと。
「全く、どこのバカだよ……」
「俺と一緒にバンド組もうぜ!」
手当たり次第に声をかけている、いかにもバカっぽい奴がいた。
俺はそいつと目を合わせる前に急速に回れ右をし自分の教室に向かった。
ああいう、如何にも目立ちそうな奴とはなるべく関わらないようにしないと。
関わらないようにって思ったのに!
俺の願いは速攻で裏切られてしまった。
さっきのバカが俺の隣にいるのだ。
同じ新入生で、同じクラスで、しかも席まで隣と来た。
「俺、小鳥遊響! これからよろしくな!」
「………………」
「名前なんつうの?」
「……梅村篤志」
「篤志か! よろしく!」
「……ヨロシク」
それからホームルームが始まるまで、どこ中だのどんな部活入ってただの趣味だの矢継ぎ早に質問された。なるべく無難に、端的に答えていった。
俺の思い描いた平和な高校生活は、のっけから躓いたのだった。
入学式、担任紹介など諸々が終わり、俺はさっさと教室を出ようと立ち上がった。
「あっ、篤志のリュックについてるのってベース?」
完全に抜かった。
そもそも、こいつはバンド仲間を探していたのだ。奴の会話攻撃は上手くかわしていたが、自分のリュックについているキーホルダーのことは完全に失念していた。
「ソ、ソウダケド、ナニカ?」
「もしかして、バンドとか興味ある?」
「…………よくわからないな」
「いや、分からなくても全然大丈夫!」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます