序章

第1話

 ゲーム起動。以下の事を気をつけてプレイしてください。


 1、本ゲームは本機器(VGS)の感覚同期機能を使用します。

 本機器の設定、痛覚リミッターに準じて、痛覚を加減します。


 2、本ゲームは、プレイ時、体感時間延長を使用します。

 体感時間延長は、現実世界での1秒をプレイ時10秒と引き伸ばす機能です。

 なお反射神経等は、強化されません。


 3、本ゲームは、脳への負荷が比較的大きいです。

 適度に、休憩を挟んでのプレイを強くオススメします。

 プレイ開始から、現実時間6分後、休憩を促す通知を自動送信します。

 これはオフにする事も可能ですが、それにより起きた健康被害は本機器(VGS)の規約に則り、使用者の自己責任となります。


 4、本ゲームは休憩モードを搭載しています。

 休憩モードは体感時間短縮を使用し、1秒が0.1秒と短縮されます。

 使用する推奨時間は現実時間で10分です。


 上記の事項を理解した上でプレイをしてください。


 それでは、本ゲーム「NEW」をお楽しみください。





「「それでは、只今からキャラクターメイキングを開始します。


  性別は、「男性」「女性」「無性別」「カスタム」からお選びください。


 「無性別」


  承知しました。


  では、次に、フェイスパーツの設定です。

  これは、本機器に則り、現実世界のフェイス状態と自動同期されます。


  フェイスパーツに設定するフィルターをお選びください。

  「男性的」「女性的」「不使用」


「男性的」


  承知しました。本フィルターは女性に適用した場合、効果が無い場合がございます。予めご了承ください。


  ボディーパーツの設定です。

  これは、ステータスにより変化致します。


  ボディーパーツに使用するフィルターをお選びください。なお固定設定は、大会又はイベント、PVP時に無効化されます。固定設定の有無は設定から何度でも変更でいます。


「男性」「男性固定」「女性」「女性固定」「無使用」「無使用固定」


「男固定」


  承知しました。


 最後に、役職をお選びください。役職により、ステータスの成長具合、また取得可能スキルが変化します。なお役職は特定イベント以外では基本的に変更は出来ません。



 「剣士」 ...基本的な役職。剣を使い相手を薙ぎ払います。

 「魔術師」 ...魔術を使い、支援または攻撃が可能です。

 「鷹匠」 ...生物等を使い、攻撃、回復、支援が可能です。

 「医者」 ...医学を使い回復力及び、治療力が極めて高いです。

 「調合師」 ...化け学を使い、爆弾や劇薬を戦闘に使用します。

 「冒険家」 ...基本的に剣士よりも汎用性が高いです。

 「兵」 ...防御力、精神力に長けており、痛覚軽減効果を持ち合わせます。

 「錬金術師」 ...魔法を使い物質を変化することが可能です。

 「操縦士」 ...ありとあらゆる機械に知識も持ち合わせ、使用できます。

 「策士」 ...情報処理に長けており極めてプレイヤースキルを必要とします。


  以上の十種です。


「鷹匠」


 承知しました。


「鷹匠」の詳細。

 ステータスは通常剣士の二分の一です。


 しかし、鷹匠限定スキル、スキル「服従(T0)」を所持しています。



 テイム生物所持数上限は4です。




 初期装備をお選びください。


「服従の首輪×1」


「スキルスロット拡張」


「鷹匠専用スキル テイム(Tier2)」


「スキル「テイム」」



 承知しました。


 以上で初期設定を終了します。

   

 お楽しみください」





 そんな言葉のともに、俺は世界に入った。

「ようこそ世界。よろしく世界! 俺はやってきた!!」

 そう俺は叫んだ。場所は初期地点。

 中世時代の建物の並ぶ市場にスポーンした俺は人の飛び交う混雑のした道のど真ん中、恥ずかしながら動きを止め颯爽と冷や汗を流している。人は取引の最中に、人との会話の最中に、それも動きを止めて俺を凝視した。


「お兄さん元気だね。何か買ってくかい?」

 

 無数にある路上店の内、ある店主が、そう話しかけてきた。

「え、あ、はい」

 恥ずかしさでボロボロになったプライドには、その言葉ですら不意打ちに見えた。そして咄嗟に出た言葉にならない不恰好な返事を、これまた恥に思い赤面する俺。

 それを面白がっているのだろう店主は、見せられない俺を吹き飛ばすように笑い飛ばした。


「いやぁ、こんな陽気な兄さん、おら初めてだ。ちなみにおらは人間に見えるかもしれないがこれでも一応人工知能だ。よろしくな」

 店主席に座ったドワーフのように小さく横に広いおじさん店主は、腕を伸ばし握手を求めた。

 これが所謂、NPCと言う奴なのだろうか。だがやけに人間臭い流暢な言動と行動が鼻につく。

 そんな事を思いながら握手したからだろうか、店主は不思議そうな顔でこちらをみてくる。


「兄さんよ。もしや疑ってるな。だがな“最初からここに居る奴は皆こうだ”安心せい。所で何をお探しで?」

 某寿司屋のように腕を広げ、後に地面に並べられた品物の説明をするように指を指した。

「ここではなんでも揃う。おらのハンドメイド製品の集まりだ。そしてこれは幸運のコートだ。「一定確率」に+1%追加する」


 一定確率とは主にスキルやアーティファクト等が使用する確率で、常時同じ値を参照する。これはその値に+1%する効果だそうだ。でも待てよ、これって弱いんじゃないか? 25/100が26/100になったところで。

 

「兄さんよ。さては弱いと思ったな。この一定確率に加算する効果の中では唯一、常軌を逸した1未満の値にも加算できる。つまりな0.001%で発動する効果も、1%に出来るってわけだ」

「それは強い!」


 思わず食いついてしまった。それを食いついたと思ったのだろう店主はすかさず値段を口にした。

「15000アリスだ。どうだ?」


15000アリス。この価値は、回復薬の上位である完全回復薬の千倍となる。このゲームの回復薬系統がやけに安く設定されているとしても、流石にゲームをクリアした後に買う値段だ。その値段に顔が歪んだ俺を見たのだろう。店主がある提案をする。


「スキルを売れば沢山のお釣りが返ってはくるな。どうだ、スキル「テイム」の階級をTier0まで下げてみたらどうだ?」

 この行為は、最初の武器を売り、丸腰でゲームをしろというのと同意義だ。

 それを分かっているであろう、店主は続ける。


「確かに、T2状態の「テイム」は1/10でテイムが出来る。しかしだな、お主の目的はおそらく、強いクリーチャーをテイムして無双するのが楽しみなのだろう。だったら、T2ではテイムできない。T0またはT?でないとな。このゲームはそう設定されておる。所でT0のテイム成功確率をしっているか? 1/10000だ。で、この装備を使えば1/100で済む。T2から考えてもたったの1/10だ。おらは買いだろとおもうけどな」


 強いクリーチャーはテイム系統のスキルを無効化しているということなのだろうか? であれば服従の首輪も恐らく無理なのだろう。


「御名答、お主の正解だわ。あのアイテムはオラからすればただのゴミ同然」


「「SMシステムメッセージ。商人T?から「蒼眼T?」の対象にされました」」

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