第14話 ドワーフの里①
「人族が一体何のようだ?ここはドワーフの集落だぞ。武器が必要ならば交易会場で依頼をしろ」
「ドワーフの王に酒を持ってきた。世界樹で作った貴重な酒だ。王に伝えてくるが良い。」
「酒だと?人族の作った酒なんぞ、酒精が弱くて飲めたもんじゃないわ。そんなもん、わしらが鍛治王に献上など出来んわ」
「やれやれ、今時のドワーフは酒に文句をつけるほど美味なる酒に出会えとるの言うのか?お主らが走って王に伝言するよう、匂いだけ嗅がせてやろう」
世界樹の酒の蓋を豪快に開ける。
吟醸香だが奥深く重厚かつ深みのある香りがその場を支配する。
その時間はわずかに数秒。
そっと蓋を閉める。
「この匂いでわからぬなら、この国には用はない。どうする門番共よ」
「わ…わかった。今すぐ王に伝えてくる。そこで待っててくれ。頼むから待っててくれよ〜」
土煙を上げながら門番のドワーフは門の中に走り回ってって行く。
「閣下、放置されましたな」
「うむ」
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「何じゃと!?今までに嗅いだことのない酒の匂いじゃと!?この里一番の酒好きで有名な、、、お主が言うほどのものか!?」
「鍛治王よ、おらが飲んできた酒のどの匂いとも違う。あれはきっと、幻の酒だ。そうに違いない。どうすんべ?」
「その人族は一体、何者だ?」
「あ…名前聞いてね…」
「バカ門番!酒はドワーフの命の水だ!貴重な酒を持ってきた方だ。きっと名のある酒蔵の蔵人だ、丁重にお迎えしろ!早く走れ!」
「わかったど!おらにも、その酒をきっと飲ましてくれよ!早速、迎えに行ってくるだ!」
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「はぁはぁはぉ…お待たせしたど。蔵人さん達、鍛治王がお会いになるんだ。おらについてきてくだせぇ〜」
「蔵人?」
「閣下、これは我々を酒造りの人間と勘違いしてますな。これはこれで楽しそうではありませんか。少しの間、楽しみましょうぞ」
ドワーフの国。
国というよりは鍛冶場の集まり。
街中からは金属音がどこからも聞こえ、同じくらい乾杯の音頭が聞こえてくる。
そんな中を歩く人族の2人はドワーフからは恰好の的である。いわゆる酒のつまみ。
「おい、バカ門!なんで人族が歩いてる?」
「こん方たちは、有名な酒蔵の蔵人さんだ!飲んだこともない酒を売り込みに来たんだ!態度悪いと売ってくれなくなるぞ!」
「なんだと!!酒しか取り柄のないバカ門が言うほどの酒か!?」
「んだ!!おめえらみたく、鍛治の才能ねぇオラだけど酒については誰にも負けねぇ!そのオラが言うんだ。この酒はドワーフ族の新たな命の水になる酒だって、匂いだけでわかるくらいの酒だ!!鍛治王のところにその酒を持ってくんだ、邪魔すんでね!」
「鍛治王のとこに持ってたら、一人で呑んじまうだろ!酒はみんなのもんだ!おまえら、ついてくぞ!」
「おめらまでついてきたら、オラの飲む分減っちまう!そこで酒盛りしてろ!!」
そんなやりとりをしながら、屋敷の前に着く頃には、2人の後ろにはドワーフの集団が…
「閣下、何やら楽しそうな展開になって参りましたな」
「うむ」
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集会場くらいの屋敷の前には、1人の白髪の目立つ老人のドワーフが屹立している。
「バカ門、お前は連れてきた方がどんな方かわからんのか!!このバカ門!!後ろにゾロゾロと揃いも揃ってアホヅラで歩いてきてる酔っ払い共!!だから、お前らは鍛治の腕が上がらんのだ!!!見てわからんのか、立ち振る舞いで凄腕の剣士だと•••」
白髪のドワーフの怒声が空気を震わせる。
キョロキョロと周りを見回りだすドワーフ達。
「バカ門番!!里一の戦士のお主がなぜ気づかない!!そこにいらっしゃる方は酒蔵の方ではないぞ。間違いなく名のある剣士だ、なんで気づかんのだ•••大変に失礼をした人族の方?もう1人は人なのか!?」
「流石は里の長、我の存在に気づいたかな?
ここに御座すはクロノス王国の初代国王クロノス閣下である。」
「うむ」 元カリスマ経営者がVRMMOを始めてみたら•••勝手に周りが物語が進めていく件について No-Bitter @nobitter0138
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