毛むくじゃら

――それが人ではないことは明らかだった。


やってきたおまえはいったい何だろう?お魚好きなその毛むくじゃら


遊び方をわからず遊ぶ 部屋をでて気けばおなじ裏庭にいる                                                                                                       


ひとりぼっちでさ。ひよこみたいにふわふわな身体の芯に空腹がある


いたずらをしようとしたらなんとなく気まずくなってやめてしまった


木に登って上気したままの息づかい、言葉を羽織るようにつかって


わたしたち、野いちごを摘み、積みあげる。ぼうっとなって野いちごを食む


彼または彼女を森へ帰らせる(鐘が鳴る)見つからないように


毛むくじゃら。おまえの名前は知らないがしあわせそうにしていてほしい


森は甘い香りを奥へ続かせる山はわたしを追いかけてくる


ひらひらと群生の虹 手招きをやめずに歪む毛むくじゃらたち

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る