海賊と演奏隊

――海賊たちは深夜、とある孤島に上陸した。


遅くまで光る夜景にひとつふたつ、いつつと積もる笛のをきく



脅迫のように明るい松明たいまつで蛾は焼けていく 脅迫だから



照らされた先で緑のジャケットがこびとを包み立ちあげるとき



誘われて聞こえはじめた音楽を耳が覚えていた心地する



気がつけば両手であった。両手から春の空気になるようだった



昇り下る意識の中で輪になって踊ればくるくるすり減るかかと



剣を掲げて島の端から呼んでいたワインが尽きるたびに誰かを



何か言い返そうとして思い出せず高い日差しに目覚めたと知る



今だから言える話はおそすぎていつまでもいつまでも虚しい



陽のあたる入り江に戻り見下ろせば船は斜めに朽ち果てていた

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