隠された宝石

――宝石を好み、隠してしまう妖精がいた。


さえずりを抑えきれない黄金のティアラは夏至の山に吊るした



王族の星のルビーは燃えるから荒ぶる虹の滝に隠した



にんげんが幸福になるブローチは空の根元に埋める予定だ



パン、蜂蜜酒ミード、りんごを置いて目をつぶれよい鍵をやるとてもよい鍵



なめないでほしいな。うまれたての子猫はかわいくても隠さない



つきあかり さまよいあるく荒野にもひととき赤い花の咲くころ



戸締りはつねにまちがい 煙突に風を通せば我々はある



人間の男に変わるひまつぶし。女に変わってもひまつぶし。



抱きしめてやれないほどの宝石が乱反射して時間は冷える



鍵穴は遠くちかくのゆめの丘、つまりはお前の淵に隠した

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る