第116話 『少年ジャンプ』で最も稼いだ漫画

『週刊少年ジャンプ』で好きな漫画は?と聞かれて、世代や好みによって答えはバラバラでしょうけど、『ジャンプ』で、最も稼いだ漫画は何だと思う?と聞かれたら、何だと思いますか?


 コミックスは100巻以上、世界で累計4億冊以上売れ、Netflixで実写ドラマもスタート、現在も連載が続いている「ワンピース」?


 日本映画の興行収益記録を塗り替え、関連グッズの経済効果は数百億円、コロナ禍の不景気を救ったとも言われる「鬼滅の刃」?


 連載終了から三十年近く経った現在でも、続編アニメやゲームが作られ続ける、世界的ヒットの「ドラゴンボール」?


 バスケやサッカーの牽引力となった「スラムダンク」や「キャプテン翼」、海外のニンジャ人気が根強い「ナルト」、長期連載の「こち亀」こと「こちら葛飾区亀有公園前派出所」や、主人公を変えながら長年続いている「ジョジョの奇妙な冒険」、いや、「キン消し」ブームがあった「キン肉マン」だ、マネして秘孔を突く遊びが流行った「北斗の拳」だ……様々な意見があるでしょうが、ダントツに稼いでいる漫画があります。


 1996年~2004年に連載されていた、高橋和希先生の「遊☆戯☆王」です。


「遊戯王」はアニメ化され、コミックスも累計発行部数は4千万部以上売れました。アニメは、タイトルやキャラクターを変えながら新シリーズも続いています。


 中でもすごいのが、作中に出てきたカードゲーム、「デュエルモンスターズ」。

(現在の版権としては「遊戯王オフィシャルカードゲーム・デュエルモンスターズ(OCG)」です)


 1990年代に流行っていた、実在のカードゲーム「マジック・ザ・ギャザリング」(MTG)が好きだった高橋先生が、その意匠を取り入れて、オリジナルのカードゲーム「デュエルモンスターズ」を考え、漫画の中でバトルもののアイテムとして、展開させたのです。


 それが、実際にトレーディングカードとして発売されました。


 そのトレカを使ったカードゲームの大会は、現在でも日本国内外で盛り上がり、カードは全世界で爆発的に売れ、カードの総発行枚数は300億枚以上。

「デュエルモンスターズ」のカードは、今でも、世界で毎年5億枚以上売れ続けているそうです。

 単位が「億」……。


 1枚につき、原作者に入る版権使用料が0.1円と言われていますので、それが300億枚で、30億円。


 毎年5億枚以上売れているので、連載終了後も、カード売り上げだけで一年に5千万円以上の収入があることになります。


「遊戯王カード 高額」などのワードで検索すると、ゲーム用のカードと言うよりは、もはやコレクターの間では「値上がり待ちの投資対象」並みの扱いです。

 レアなカードになると、売買価格は、数万レベルではなく、数百万以上のものまで……! カード1枚で、ですよ!?


 私の知人にも、大人になって「ポケモン」カードを集めているマニアがいますが、「遊戯王カードはケタが違うから手が出せない」と言っていました。


 コミックス・アニメ・ゲーム、その他関連グッズの売り上げをすべて含めると、「遊戯王」だけで、「数兆」近くの金額が動いたという噂も……。


 残念ながら、作者の高橋先生は、去年(2022年)に、沖縄の海でダイビング中に亡くなられましたが、その功績は偉大としか言い様がありません。


(個人的には、連載当初の、デスゲーム系で知恵比べしていた一話完結の雰囲気も、けっこー好きだったりします)


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る