第114話 「ワン!」と吠えた偽ライオン

 2013年、中国の動物園で起きた珍事。


「アフリカライオン」として展示されていた動物が、実は毛の長い「大型犬」だったことが発覚したのです。


 幼い息子を連れて行った父親が、ライオンのはずなのに鳴き声が「犬」だったことから、ライオンではないことに気づいたそうです。


 指摘を受け、その動物園の展示を調べてみると、「オオカミ」のオリにも犬がいたり、「ヒョウ」のオリにキツネがいたりと、看板の表示と実際に展示される動物が異なる例がいくつも見つかったそうです。


(誰か気付かなかったんかーい、というか、ここまでくると、みんな、気づいていたけど逆に何も言わなかったんじゃないか、と思えてきますが……)


 動物園の責任者は、


「ごまかすつもりはなく、同動物園にもライオンはいるが現在、別の施設に送っているため、安全上の理由から一時的に職員が飼っているチベタン・マスティフをライオンの飼育舎に入れていた」


 と弁明したそうです。


 聞いていて、思わず脱力してまいそうなニュースですが。


 さて、この動物園でライオンの「代役」を務めきれなかった大型犬、チベタン・マスティフ。


 モフモフとした毛に覆われ、「チベタン」というだけあって、チベットが発祥の犬種です。

 気は荒く、攻撃的で、子供の頃からしつけることで軍用犬として使われることが多いそうです。


 あのチンギス・ハーンも数万匹のチベタン・マスティフ軍団を引き連れていたとか。

(モフモフ度がすごそう)


 マルコ・ポーロは旅している中で、チベタン・マスティフと遭遇して驚き、あの「東方見聞録」に、


「ロバのように背が高く、ライオンのような力強い咆哮を兼ね備えた犬」


 として、紹介しているそうです。


 このチベタン・マスティフ、一日の食事量はチワワの30倍。

価格は一匹で一億円以上するとか。


 中国の富裕層の間では、飼うのがステータスと言われた時期もあったようですが、数が減少しており、現在では入手が困難らしく、「飼う」のも「買う」のも大変そうです。


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