第111話 年を取るほど時間が早く感じる「ジャネの法則」

 スマホや腕時計のストップウォッチ機能をご用意下さい。


 時間表示を見ずに「ぴったり10秒経ったと思ったら、止める」という実験をやってみて下さい。

 

 ……あなたは、10秒以上でしたか? 10秒以内でしたか? それとも、10秒ジャストで止められましたか?

 

 子供の頃の夏休みは、終わりがいつ来るのか、長い長い期間のような気がしましたが、大人になってからの8月の1ヶ月間なんて、あっという間です。

 

 年を取るほど、時間の経つのが早く感じるようになる……19世紀のフランスの哲学者、ポール・ジャネが発案し、甥の心理学者ピエール・ジャネの著書で紹介された、この法則を「ジャネの法則」と言います。


「主観的に記憶される年月の長さは、年少者にはより長く、年長者にはより短く感じられる」という現象。


 例えば、50歳の人間にとって、「1年間」という長さは、人生の中で「50分の1」です。

 ですが、5歳の子供にとっては、「1年間」は人生の「5分の1」に相当します。


 体感時間の心理的長さは、年齢に反比例する、ということ。


 冒頭の「10秒の実験」は、あるテレビ番組で実際にやっていたもので、幼稚園児などは「14秒」「15秒」など「10秒以上」の結果でしたが、50代・60代の人たちは「6秒」「7秒」など「10秒以内」の人が多かった、という結果でした。


 同じ「10秒間」でも、体感時間として、子供は「長く」感じており、年配者は「短く」感じている、ということになります。


 冒頭の「10秒の実験」では、ジャスト10秒で止められたのは20代の人たちが一番多い、という結果でした。


 人間、80過ぎまで生きるとして、「体感時間として半分が過ぎた、人生の折り返し地点」は、20代くらいなのかも……。


 様々な経験と共に、年齢を重ねると、何をしても新鮮味がなく、「慣れ」で時間を過ごすことが多くなります。

 逆に、子供の頃は初めて体験することばかりで、毎日が新しいことばかり。

 それが、強く印象に残り、「体感時間が長く感じる」という説があります。

 

 年を取っても、知らない土地、出会い、未体験のことに積極的に取り組めば、子供の時のように「体感時間を長く感じる」ことができるのかもしれません。

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