第104話 インド飲みとラッパ飲み

「ラッパ飲み」という言葉は、文字通り「ラッパを吹く」スタイルに似ていることから名づけられた飲み方です。

 その名の通り「ラッパに口をつけて吹く」のと同様、ビンやペットボトルに直接口をつけて飲むやり方です。


 夏場に、中途半端に飲んで残したペットボトル飲料を、常温で放置すると、すぐに雑菌が繁殖します。

 人間の唾液の中には、1mlの中に百万~一千万の雑菌がいると言われています。


 ボトルに口をつけて飲むと、唾液の中の雑菌が自然と飲料の中に移動し、飲料の栄養分を糧として、雑菌が増えていくわけです。

 ただ、殺菌作用のあるカテキンを含む緑茶とか、もともと栄養素の少ないミネラルウォーターなどは、比較的増える速度は遅いようですが、糖分が入ったジュース類は危険です。おいしいエサがあるので、菌が爆発的に増えます。


 飲み残しのペットボトルで、雑菌が増えると食中毒の危険があるので、キャップを開封したら一気に飲み切ることをオススメしますが(口をつけなくても、空気中の雑菌が入り込むこともあり得ますし)、もうひとつオススメしたいのが、口をつけずに飲む方法。


 これを「インド飲み」と言います。


 戦場で水筒を回し飲みする時にも用いられたことから「戦場飲み」と呼ばれることも。


 やり方は簡単。


 口を開けたまま、顔を上げて、ペットボトルに接触せずに、飲料を自分の口に注ぎ込むようにするのです。

 なんてゆーか、「空中ラッパ飲み」みたいな。


 やってみると……簡単、ではないかも。

 結構、コツがいります。慣れない人だと、口の周りからドボドボこぼれたりしますので。


 インドでは、「口をつけて汚すこと」は不浄なこととされ、ヒンディー語ではそれを表現する「ジューター」という形容詞まであります。


「好きなあの子が飲んだコップ……これって間接キス?」

「わたしの使った箸でもいいかな? はい、あーん」

 みたいな、ラブコメだったらドキドキするような場面も、インドでは絶対にありえないみたいです。少し残念。

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