第95話 「ヘリ・コプター」ではなく「ヘリコ・プター」

 ヘリコプターには「搬送用ヘリ」「消防用ヘリ」「ドクターヘリ」など種類があり、「○○ヘリ」とつけるのが慣例です。


 なので、「ヘリコプター」という単語を区切るのだとしたら、「ヘリ・コプター」だと思ってしまいます。


「ドラえもん」の「タケコプター」だって、「竹とんぼ+ヘリコプター」からの発想なんでしょうし。

(ちなみに、あのひみつ道具、初登場時は「ヘリトンボ」という名前でした)


 ですが、正しくは「ヘリコ・プター」。


「ヘリコ」で一度区切るのが、原語として正しいそうです。


 語源はギリシャ語で、「螺旋」を意味する「ヘリックス」と、「翼」を意味する「プテロン」、「ヘリックス」にフランス語の接頭語「エリコ」がくっついて「ヘリコ」となり、フランス語で「ヘリコ・プテール」と命名されました。


 それが英語では変化して「ヘリコ・プター」になったようです。


 「螺旋状の翼」を意味するこの乗り物は、時代を遡ると、レオナルド・ダ・ヴィンチが既に「螺旋状の翼による飛行装置」のアイデアをスケッチしていたというのですから、天才の先見性というのは計り知れません。


 明日からは、空を飛んでいるヘリコプターを見たら「あ、ヘリだ」ではなく「あ、ヘリコだ」と言ってみましょう。

 周囲の人から「何言ってんだ、こいつ……?」と怪訝な顔をされるかもしれませんが。


 妙なところで区切るといえば、もうひとつ。


 コーヒーで有名な、タンザニアの「キリマンジャロ」は、「キリマ・ンジャロ」と区切るのだそうです。


 スワヒリ語で「山」を意味する「キリマ」、「輝ける」を意味する「ンジャロ」、ふたつで「輝ける山」という意味になるのだそうで。


 区切るなら「キリマン・ジャロ」あたりでスパッと区切りたい気もします。

「ン」が頭につく単語って、「それを覚え始めたらしりとりが無限に続くじゃん」と思えて、なんかスッキリしないんですよね。「終わり」の「ン」であってほしい。


 アフリカの地名、「ンジャメナ」とか「ンゴロンゴロ保全区域」とかあるんですけど、それを言い始めたらキリがなくなっちゃうというか……。

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