第83話 アインシュタインが舌を出した理由
前回、「ノーベル賞」について取り上げました。
「相対性理論」でおなじみのドイツの学者、アルベルト・アインシュタインは、自分の浮気が原因で離婚する時、
「今やってる研究でノーベル賞を取るから、その賞金で慰謝料を払う」
と予告し、奥さんもそれを受け入れ、見事にノーベル賞を取って本当に賞金で慰謝料を払ったと言います。
予告ホームランならぬ、予告ノーベル賞。
人生でこれが出来る人間はどれだけいるのか。
アインシュタインは研究に一途な性格で、身なりにもあまり気を配ったりしなかったようです。
靴下が嫌いで裸足に靴を履いていたり、「身だしなみに気を遣ったらどうですか?」と周囲の人の声にも「肉を買ったときに包み紙の方が立派だったら侘びしくはないか」とやり返したことがあるそうです。
アインシュタインのイメージと言えば、舌を出しておどけている写真が有名ですね。
普段からふざけるのが好きな明るい陽気な性格……というわけではなく、根は真面目で、マスコミの前でも笑顔を見せなかったそうです。
カメラマンに取り囲まれると、辟易して、露骨に不機嫌そうな表情を見せていたとか。
1951年3月14日、アインシュタインの72歳の誕生日。
パーティーを終えて出てくる時、マスコミに取り囲まれ、アインシュタインは煙たそうな顔でカメラマンや取材陣を追い払っていました。
アインシュタインを取り囲んでいた、通信社のカメラマンのひとり、アーサー・サスが、
「今日はアインシュタイン博士の誕生日でしょう? いつも我々の前で笑顔を見せませんが、誕生日くらいは笑ってくれてもいいのでは?」
とリクエストしたところ、照れ隠しなのか、悪態をついたのか、言葉どおりに「今日くらいは……」と思ったのか、アインシュタインは「べーっ」と舌を出して、普段見せないようなおどけた表情を見せました。
その瞬間を収めたのが、あの有名な写真、というわけです。
新聞社では、この写真を使うかどうか議論になりました。
「これは、報道業界に対する、博士からの挑発ではないのか?」とボツにする声もあったようですが、見事にシャッターを切ったアーサー・サスは「これは記念すべき一枚になる」と意見を通した結果、現代までに残っている、という歴史があるのです。
ちなみに、アインシュタイン自身もこの写真は気に入ったようで、アーサー・サスに手紙を送って「写真を焼き増しして、私にくれないか」と依頼しています。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます