第69話 「夢」に関するあれこれ

 子供の頃、「寝ている時に見た夢を記録しておくと、脳が覚醒して超能力に目覚める」みたいなのを何かの本で読んで、本気で信じて「夢日記」をつけていた時期がありました。

 枕元にメモ帳を置いて、起きたら「覚えているうちに……!」ってバーッて書き留めるんです。


 ある実験データでは、起床して、5分も経過すると、夢の記憶というのは50%消え、10分以上経過すると90%消えるそうです。

 メモをとるなら、起きてすぐじゃないと。


 ただ、寝起きの頭では、寝ぼけているせいか……あとで時間を置いて冷静な頭で見ると、意味不明で支離滅裂な単語が並んでいるだけなんですよね。


 書いた瞬間は「すごい夢を見た!」と興奮しているのかもしれませんが、ぐにゃぐにゃの読みづらい字で「4時83分」「なのにゴリラが」「背骨が丸見えだよ」「墓に裸シャツ」と書かれていて、頭を抱えてしまいました。なんだコレ。過去の俺よ、今の俺にどう処理しろというのか。


 ものすごーく、くだらないコトをやっているように思えて、一週間くらいで飽きてやめちゃいましたけど。超能力にも目覚めませんでした。


 大人になってから読んだのですが、某作家さんが「夢の中に創作のヒントがあるかと思い、一時期、見た夢を書き留めていたことがあるが、それを始めてから悪夢ばかり見るようになり、やめてしまった。夢とは、頭の外側に出すべきものではないのかもしれない」とエッセイの中で語っていて、少し怖くなりました。


 江戸時代あたりは、「夢とは、自分の身体から魂が抜け出て、異世界に行って、そこで見ている風景である」と言われていたとか。


 江戸時代の笑い話の中に、こんなのがあります。


 草原で居眠りしていた男の鼻から、一匹のアリがもぞもぞと出てきた。そのアリが背の低い雑草の先端まで昇って、そこで引き返し、また男の鼻の穴へ戻っていった。男は、ガバッと起きて「怖い夢を見た気がする。俺は高い所が苦手なのに、気が付いたら、えらく高い場所にいて、足がすくんだ」と言った。


 男の魂は、一時的に「アリ」の姿になっていたのかもしれませんね。


「いい夢だったのに、途中で起こされてしまった」という場合、その夢のイメージが強く脳裏に残っていれば、再び寝る前にそのイメージを強く念じることで、「中断された夢の続き」を見ることができた、という事例もあるようです。

(私、一回だけですが成功したことがあります)


 良かったらやってみてください。

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