第59話 「地震・雷・火事・親父」なんで親父だけ人なの?

「世の中のおそろしい事」の比喩として、「地震・雷・火事・親父」という言葉があります。


 なんで4分の3は天災で、残り4分の1が人間なの?と不思議な気がしますが。


 昔は、山から吹き下ろす突風を「山嵐やまじ」と言ったそうで、それのグレードアップバージョンが「大山嵐おおやまじ」。


「オオヤマジ」が変化して「オヤジ」になり、いつしか同音異語の「親父」になって、怖い物の代表の「地震・雷・火事」に、ユーモアとして「怖い頑固親父」を取り入れたのでは、という説が有力です。

 

 江戸時代の書物には、既に「地震雷火事おやぢ」と、意図的に平仮名で書いている記述があるそうです。


 つまり、実質的には、地震・雷・火事・「強風」で、4つとも自然災害だったわけですね。これなら納得です。


 派生して、怖い物を列挙して「地震・雷・火事・女房」とふざけて言ったりする場合もあるとか。


 かつては、一家の長であり、威厳があったパパも、実際にはママの尻に敷かれていたり……本当に怖いのは、こっちの方かもしれませんね。


 ちなみに、お父さんのことを「一家の大黒柱」と表現することがありますが、「大黒柱」はもともと「大極柱だいきょくばしら」から来ているという説があります。


 大昔の日本で、国家の政治や儀式を司った神殿、朝堂院ちょうどういんの正殿・大極殿だいきょくでんの一番大きな柱を「大極柱だいきょくばしら」と呼び、それが転じて、建築物の中で家全体を支える役割を持つ、一番重要な柱を「大黒柱」と言うようになりました。本来は、建築用語だったみたいです。


 他にも、七福神の中でも富を司る「大黒天」からきているとか、国の中心の柱という意味の「大国柱たいこくばしら」が変化した、などと別の説もあるようです。


 時代を経て、建物を家族や組織に見立てて、集団の中心となって支える人物のことを「大黒柱」と呼ぶようになった、とのことです。


 皆さんの家庭で「一家の大黒柱」と言ったら、誰の顔が浮かびますか?

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