第50話 「安全第一」の続き、第二・第三は?

 工事現場などで「安全第一」と書かれているのをよく見かけますが、あれは元々、アメリカで生まれたスローガンだそうです。


 1900年代初頭のアメリカは、第二次産業革命の盛り上がりで、国内産業を急成長させていました。


 当時のアメリカの工場では、安全性よりも生産性が重視され、


「生産第一・品質第二・安全第三」


 が合言葉だったそうです。こんな環境なら、労働災害が日常的に起きてしまいます。安全は三番目。ひどい。


 鉄鋼業界で世界的に圧倒的なシェアを誇っていたアメリカの製鉄会社「USスチール」で、社長のエルバート・ヘンリー・ゲイリーは、この状況を打開するため、スローガンを変更し、作業者の安全を守る方向性に変えました。


 それが、


「安全第一・品質第二・生産第三」


 でした。


 このスローガンに変更してからは、労働災害が減っただけではなく、作業効率、生産性、品質、すべてが向上しました。


 これに倣って、他の工場もそれに真似するようになり、この「安全第一(セーフティ・ファースト)」というスローガンは、さまざまな現場に浸透していったと言われています。


 日本にこの考えが来たのは、1912年、大正元年のこと。


 古河鉱業足尾鉱業所所長であった小田川全之(おだがわ・まさゆき)氏が、当時のアメリカで掲げられていた「セーフティ・ファースト」のスローガンを「安全専一(あんぜんせんいち)」として、日本に持ち込みました。


 それまで、日本には「安全第一」という考えはなかったことから、日本でも労働災害の数が減っていったそうです。


 ちなみに、「安全」と「第一」の間には緑色の十字が描かれるデザインが有名で、ヘルメットや旗、ポスターなどに起用されていますが、あのデザインは「安全旗」と呼ばれるもので、1919年に採用されてから100年以上になるそうです。


 番号のついたもので、意外な続きがあるといえば、初夢で見ると縁起がいいという「一富士・二鷹・三茄子」。


 この言葉が流行り始めた背景には、徳川家康の好きなものをチョイスして並べて「こういうのを夢で見ると縁起が良いそうですよ」と家臣がゴマスリのために家康に進言した、という説があります(諸説ありますが)。


 四番目以降は、「四扇(しおうぎ)」・「五煙草(ごたばこ)」・「六座頭(ろくざとう)」と続くそうです。全然、聞き馴染みがないですが。


 これは、江戸時代に書かれた、俗語などを集めた辞典『俚言集覧(りげんしゅうらん)』に、「一富士二鷹三茄子」の続きとして、「四」以降のものが記されていたそうです。(ってことは後付け?)


「扇」は、扇子を広げた形が「末広がり」を意味し、「煙草」は、煙が上に昇る、決して下がることのない様子を「縁起が良い」としたそうです。

「座頭」は、頭を剃って丸めた琵琶法師のことで、毛がない=ケガがない、つまり「家内安全」を意味するのだそうで。


 ここまでくると、こじつけというか、なんでもいいような気も……。

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