第3話 「ライオン殺し」という植物がある
百獣の王・ライオンを殺すだなんて……なんだか己の内なる厨二ソウルを刺激されそうな名前です。
しかも英語名だと「デビルズ・クロー(悪魔の鉤爪)」と呼ぶそうです。
ますます素敵。
さて、その「ライオン殺し」ですが。
アフリカの南部や、マダガスカルの砂漠地帯に生息する、ゴマ科の植物です。
学名は「ハルパゴフィトン・ピロカムベンス」。
「巨大な逆さに曲がったトゲを持つ植物」を意味します。
その示す通り、種子は、5cmほどの大きさで、トゲトゲが無数に生えた形状。
しかもそのトゲトゲの先端には、釣り針のようにカーブした「かえし」があり、一度刺さると抜けにくい構造になっています。 まさに! 悪魔の鉤爪!
ライオンがうっかり踏んだりしたら、足の裏に刺さり、抜けにくいゆえに、歩くことが困難になります。
口で噛みついて引き抜こうとすると、口が傷だらけに。
「かえし」のせいで、抜こうとすればするほど、深く食い込んで、ますます抜けにくくなる。
歩けないし、食事もとることができない。傷だらけのライオンは弱って、餓死してしまう……というわけです。
まさに! 悪魔の鉤爪!(2回目)
ライオンの死骸は、他の捕食動物に食われて、自然と土に返っていきますが、「ライオン殺し」は、地面にしみ込んだライオンの血も養分にして、新たな芽を出し、繁殖していきます。
そして、「ライオン殺し」の茂みが出来上がり、また次の獲物を待つのです……。(ホラーな締め括り方)
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