第4話 3泊目
3日目は悪夢で始まりました。
こうなってから右を向くと気持ち悪くなるので、ずっと左側を向いて寝るか、仰向けで寝るかでした。夜中にとうとう身体が痛くなり、右を向いて寝てみました。
すると、いつも長居をする苦手な年配の親戚が青いサラサラヘアで(普段は白髪まじりの昭和パーマであります)子連れ孫連れで、身動きできないまま何故か自宅にいる私のもとに現れました。今、我が家ではインフルエンザが蔓延してるから帰るようにと押し問答をしながら目が覚めました。そういや、家族が病気だろうと構わず連絡無しに現れる親戚達が大嫌いやったわーとブツブツと呟きながらふと動かした右手が濡れてびしょびしょでした。
点滴の針がはずれ、漏れてしまっていました。これは自分でどうしようも無いとナースコールを。看護師さんが懐中電灯片手に車椅子を押して現れました。トイレだと思われたのでしょう。点滴の部位を見せるとすぐに道具を持ってきて左手に付け替えてくれました。夜勤の最中に大変申し訳なく、平謝りの私に、
「右手の肘に刺さっていては仕方ないですよ。」
と言ってできるだけ今度は邪魔にならない所をと探して下さいました。有り難かったです。
朝の回診で
「今日から歩こうか。大分眼振良くなったね。退院、明日かな。んー午前中退院って考えて、明後日かな。」
と言われました。トイレ1人で行ける。好きな時に。まず、そう思いました。とっても嬉しい事です。そして看護師さんからシャワーを浴びてみませんかと言われました。お風呂場とはフラフラーつるっステーンでは無いですか!一気に不安になりましたが病院で無理だったら家でも無理ってこと。やってみようと、午後のシャワーを予約しました。
症状としては頭痛と車酔いが治らない感じです。歩くとなるとふらつくに見えないまで足すわけにもいかず、意を決してメガネをかけました。あんなにも邪魔だった点滴スタンド、ブラボーです。ガラガラと始まりは点滴スタンドにすがる形でなんとか歩けました。
ただ歩いていると看護師さんから、
「大丈夫?」「え?」
心配の声が上がるので、たびたび
「今日から歩こうって先生に言われましたー。」
と説明しなければなりませんでした。
そして管理栄養士さんが現れました。大学の管理栄養士学科って国立では3個しかなくて後は県立、私立で、意外と狭き門。ちょっと憧れの方々です。
私の猥雑な自己流のアレルギーをさっさと整理していく管理栄養士さんは可愛くて賢かったです。
「果物は要するに柑橘類とバナナは食べられるんですね?エビ、カニは出汁レベルで気にするべきで筍はメンマもダメで、ハンバーグの繋ぎに入る牛乳は大丈夫と。」
食べられ無い果物を羅列するよりすっきりと整理して下さいました。
お昼ご飯に冷えて薄皮を剥かれたオレンジが出てきて凄く嬉しかったです。退院してからも、わざわざオレンジを買ってきてくれと家人に頼むほど美味しく幸せな思いをしました。
さて、シャワーです。背もたれ付き風呂椅子、シャワーチェアなるものを買うべきか真剣に悩みました。フラフラする身体を支えるのに便利です。しかし場所をとるなぁと思いながら、自宅のお風呂ではどうするかシュミレーションしながら入りました。髪の毛を洗うとサッパリして頭痛も和らぐ気がします。今でもですが、意外と顔を洗うのがクラクラします。椅子のある洗面所でドライヤーで髪の毛を乾かしながらこうやって段々と通常に戻れる事に感謝する。
3泊目はそんな感じでありました。
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