第5話③ 知子、35歳の恋(3)

「えっ・・・・?」

夫が戸惑いの声を出すのを私は笑いを堪えて聴いていた。


無視するように納戸になっていた部屋に布団を運ぶ。

流石にベッドを入れると狭すぎるから。


「今日から私、ここで寝ますから・・・」

そう言う私をポカンと口を開いたまま、夫は眺めていた。


※※※※※※※※※※※※※※※


「と、知子・・・?」

夫は喉をゴクリと鳴らし、私を見つめていた。


黒いシースルーのランジェリー。

最近、頑張ってダイエットと筋トレした私のスレンダーになった身体。


薄闇の中で見せてあげたの。


子供たちが寝静まった夜中の二時。

夫が眠る寝室に私が忍んでいった。


別の部屋で眠るようになって、一週間後。

私からの挑戦状。


これで、興奮しないのなら。

即、NG!


夫と別れて。

そう、どうしようかな?


子供達とは別れたくないし・・・。


いいの!

もう一人の自分が励ましてくれる。


今更。

迷わない!


そう。

そうなのだ。


夫よ。

私をまだ愛しているのなら。


もう一度、夫の喉がゴクリと、鳴った。


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