7.最初の街に到着。

角狼にも分析・解析魔法を使うと、角ウサギよりは少し大きな、しかし同じ緑色の魔石がある事がわかった。



「魔力ポーションってどのくらいのサイズの魔石が必要なんだろう。ーーそもそも、魔石ってどう使うんだろう.....」



ーーーむぅ。魔石を入手したら、魔力ポーション作ろうかと思ったけど、やめた。

まずは情報収集だな。


異空間に角狼を放り込み、索敵魔法を広げる。森を抜けるまであと少しだな。ーーーそういえば、自分の格好はここでどう映るだろうか。

前回の世界の影響もあって、現在はミリタリー風の格好だ。Tシャツに、ジャケット、カーゴパンツ、革靴、おまけにハードナックル付きの指先のないグローブと、どれも黒っぽい。格好からすれば、軍人に見えなくもない。ーーー筋肉質だけど、肉ないしな。身長は178cmと中途半端で、お世辞にもガタイがいいとも言えない。女顔で細マッチョは受け入れてもらえるだろうか。キモいとか言われたら泣いちゃう。


門とかで身分証明あるだろうか。

どこから来たって言われても困るなー。

言語は今まで勝手に変換されてたから問題ないとは思う。多分だけど。


ここはひとつ、気づいたら近くの森の中にいたって言おう。出身はそのまま日出ずる国ニホンとして。

どうやって、どのような状態で、て言われても、神隠し的な?で答えよう。うむ。



そんなわけで、やっと森を出た。異空間には癒しの薬草がわんさかと角ウサギがわんさかと角狼が1匹。スキルとかアイテムボックスとかマジックバックとかそうゆう物が存在するのかも調べないとやりにくい。とりあえず財布は異空間から出して、懐にしまっとこう。荷物ないのも変なので、いつかの日本昔ばなしで入手した革袋をリュック風にしたのを取り出して装着。

身分証明が必要ならきっと異世界転移の代名詞冒険者ギルドがあるはずだ。手に入れたら胸ポケットに入れよかな。


ーーーギルドあるよね?

あると言ってくれ!!



森を抜けて、遠くに見えている門を目指して歩いていると、人や馬車が通っているだろうが、道路と言うより踏み固められたけもの道がある事にきづいた。歩きにくいし、そちらにちょっとずつ移動して合流してみる。後ろを振り返ると、森の間にもあったようで、俺が道を探さずにそのまま突っ切った為に気付かなかったようだ。

索敵魔法に人がひっかからなかったんだもん。今度は地形も含めて探索魔法に変換しよう。


うむうむ、と1人反省して前を目指す。

門がだんだんと近づいてくると、馬車や徒歩の人何人かの列ができていた。

近くまでくると、門も結構大きいのがわかる。

最初は村とかがセオリーかと思ってたけど、割と大きな街なのでは?


ほへぇ、と門とか人の様子を確認していると、「次の者!」と呼ばれた。

ボケッとしてたので、俺か?とキョロキョロしても、誰も反応しない。前に誰もいないし、呼ばれたのは俺らしい。

と言うか次の者って言ったよね。言葉通じてよかった。



「こんにちは。」

「おうこんちは!っておせーよ!ボッとしてんな!ーーーと、綺麗な顔してんな。女か?」

「男だから顔赤くしないで。そっちもオッケーだったりすんの?」

「ね、ねーよ!み、身分証!身分証出せ!」

「ごめんね、身分証ないの。お金はあるけど、入れる?」

「ああん?」



トテテテ、とスキンヘッドのガタイのいい門番の兄ちゃんに寄っていくと、やはり女かと言われる通常運転。サラッと揶揄い、身分証はないと、しれっと言ってみると、上から下まで眺められた。



「格好は軍人ぽいし筋肉はあるが、小綺麗だしなぁ。盗賊ではなさそうだな。なんだ、身分証落としたか?」

「そんなとこ。俺ここがどこかわかんないの。迷子。」

「ああん?悪戯精霊に連れられて来たのかぁ?ーーまぁ、いいや。犯罪者じゃないなら、そこの水晶に手かざしな。犯罪者じゃないなら白に、なんか悪い事してたら赤く光るからよ!」

「おお、なんだそのハイテク水晶。」



どうやら神隠し的な事をこちらでは悪戯精霊に連れられて来たとか言うらしい。

門の横の方に置いてある丸い水晶を指差して手をかざせと言われたので言われた通りにする。

白色に光り、なんかブォン、と表示された。



【名前 アキ・ジゼア・アキナシ】

【種族 人族】

【性別 男】

【年齢 18歳】



「うぉ、お前貴族か?」

「ーーーえ?」



いつの間にか横に立っていたスキンヘッドの兄ちゃんが変な質問してきた。

あ、そうか、門番だもん、確認の為に一緒に見るよね。まさか名前とか出ると思ってなかったけど。



「ミドルネームまである苗字持ちなんざ、貴族だろ?」

「あぁそう言う.....違うよ、俺の出身国では貴族じゃなくても苗字持ちなんだわ。ミドルネームはついてたりついてなかったりするけど。」

「そうなのか?へぇ。そんな国聞いたことねえけど、遠い国なんだなぁ。」

「まぁね。東の果てかな?」

「へぇ。ヤマトとかか?ありゃ東大陸から更に海を渡った先って言うし、そりゃ遠いなぁ」

「!大和知ってるのにいちゃん!」

「おうやっぱりヤマトかよ!黒髪も珍しいからな!やっぱりそうかと思ったぜ!俺の実家が商会でよ!東の果ての日出ずる国ったか?ヤマト大国ってな閉鎖的な国で有名でよ!珍しい品が盛り沢山だってんで、取引するのに随分苦労したって話よ!」



出た、異世界あるあるヤマト大国!

その後色々盛り上がり、スキンヘッドのにいちゃん、ヴィンさんにオススメの宿を教えてもらい、しっかりと身分証明がない場合の小銀貨5枚を徴収され、やっとこさ街に入った。

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