6.狼、お前もか。

倒した角ウサギに魔石があるのか見る為、手をかざして分析・解析魔法を使う。

ーーーうん、あるね。小さい緑の石だ。



さて、分解までして魔石を取り出すか、と思ったところでまたしても索敵魔法の赤い点滅。



ガサッと茂みの中から姿を現した白色に、今度は冷静に魔法を放つ。



「氷結!」



《ピシーッ》《ゴトッ》



氷に覆われて動きを止めた新たな角ウサギを見て、俺は思った。



(あ!「フリージング」の方がかっこいい気がする!いや、ゲーム的には「アイスニードル」とか針っぽい方がかっこいいかな!?)



突っ込みがいないと止まらない。

その後癒しの薬草もビックリの角ウサギの出現率に飽きてきた頃、勿論フリージングに名を改めた魔法やアイスニードルも試した後、物凄い勢いで赤い点滅が急接近してきた。



角ウサギーーーーじゃない!



「ヘイスト!」



これもゲームだよね!って思いながら自分に素早さUPの魔法をかける。多分かけなくても対応できるけど、今は俺の中の流行りなのだ!



灰色っぽい毛並みの犬型の魔物を、スレスレで回避すると、犬型の魔物は木の幹でターンをして接近してきた。ヘイストをかけた事もあり、物凄いスローで見えるんだが、あ、これ面白くないわ。と後悔しても遅かった。魔法には飽きてきてたので、踵落としを決め込む。



《メリッーーッ》《ズドンッ》



あ、こいつも角持ちだわ、と気づいたので頭上を狙うつもりだった足をこめかみ上あたりに変更。

真下に行く予定が斜め下に軌道が逸れて地面を抉りつついくつかバウンドして止まった。



「むむ。加減はしたつもりだったけどヘイストのせいかな?速さ乗った攻撃は威力増すのか。」



いやー、反省反省、と呟きながらとりあえずヘイストを解除して倒した魔物の元へ向かう。

頭へしゃげてるけど、角は無事だな。ヨシヨシ。

ーーよく見ると狼っぽいな。ウルフとかヘルハウンドとかそういった名前かなー、とマジマジと覗き込むと、索敵魔法さんが仕事した。



【角狼】(つのおおかみ)

狼の魔物。

人を見ると、とりあえず襲いかかる。

頭はよくないが、素早い為、中級冒険者まで苦労する敵となる。

角と毛皮が素材となる。身はやや硬く味はやや美味。

(状態:死亡)




ーーーー狼、お前もか。

あと、やや美味って何。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る