第3話 小さな前進は悪を倒す1番の近道

『野畑くんさ、生きてるの辛くない?』

帰りに下駄箱で声を掛けたのは豊川理路だった。

豊川くんが声を掛けてから数秒後に佐々木雄大が野畑くんの腹を思いっきり足で蹴って言った。

『あれー、こんなところにサンドバッグがあったわ。のばたん、明日もよろしくぅ』

佐々木雄大、彼は1年の頃から気に入った子には佐々木くん直々に暴力という名の遊びがあった。

野畑海斗くんは、3年になってから選ばれた佐々木達のおもちゃだった。

腹を蹴られた野畑くんは起き上がって、僕を見て言った。

『俺はあいつらよりも強いんだ。お前みたいな優等生ヅラのやつになんで心を晒さなきゃいけないんだ。お前の質問に答えてやるよ。俺だって死ねるならこの身を投げ出して死にたいよ。でも、教室で誰が助けてくれる?お前か?いや違う教室がひとつの塊みたいに見て見ぬふりをする。それこそいじめでしかないじゃないか。今声をかけるなら、いじめが始まった時になんで助けてくれないんだよ』

野畑くんの悲痛な叫びに僕は答えた。

『別に心をさらけ出そうとしなくたっていい。君が死にたいか死にたくないか聞いただけだ。でも、結局分かったのは君は生きたいんだなってこと。だったら、これから僕らみたいな優等生同士で小さな反乱を起こそう』

『何言ってるんだよ。反乱って...力さえない俺らに何が出来るんだよ』

『まずは、君が彼らにやられている証拠動画が欲しいから、明日いつものようにいじめられてきてくれる?』

『何言ってるんだよ。やられたら痛いんだよ。苦しいんだよ。君に良心は無いわけ?』

『逆に言うけど、反乱を起こすのに良心に従う必要ってあるのかな?』

『.....分かった。じゃあ明日』

僕は彼に笑顔で手を振り佐々木雄大の下駄箱に小さな紙に『昼休みに体育館で待ってます♡』と女子っぽい字を書いて入れた。

佐々木雄大の怒り方は少年マンガに出てくるいじめっ子にそっくりだから、きっと雷のようだろう。

水に油を注ぐように大胆ないじめ方の方が証拠動画の取れ高も良くなるだろう。

野畑くんには悪いがこれからが本番だ。


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優等生な僕の悪事 ソノハナルーナ(お休み中) @eaglet

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