商売(しょうばい)
ある男が、商売で大成功していた。
収益を確認しながら、男は笑みを浮かべた。
「莫大な額の大金が手に入る。この商売はやめられないな」
ところが、ある日のこと。偶然、目にしたニュースの内容に驚いた。
「政府は、輸出される武器に高い税金をかけることを発表しました」
ニュースキャスターが話す内容に、男は激怒した。
自分の儲けが減ってしまうではないか。余計なことをするな。
しかし、その後テレビに映された映像は、男の気持ちを一変させた。
「私の輸出した武器によって、多くの子どもたちが死んでいたのか。ああ、腕や足を失っている子どももいる。そんな……」
映像は、世界中で繰り広げられている「現実」を包み隠さず映し出していた。
「おぎゃあ!」
近くで、生まれたばかりの我が子が大泣きをしていた。
まるで、被害を受けた子どもたちの分まで、泣いているようだった。
「お前も……悲しいのか?そうだよな、幼い子が傷つくのは嫌だよな」
我が子から「そんなことはやめてよ、パパ!」と訴えられているように感じた。
一児のパパとなったばかりの男は、武器輸出の仕事をやめようと決意した。
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