第2話:先輩はヌードを描いてとせがむ
「しばらくぶりの部室ねえ」
「受験お疲れ様でした」
受験勉強のため、秋頃から部活にほとんど顔を出さなくなっていた先輩が久しぶりに帰ってきた。
「結局、最後まで部員は二人だけだったわね」
「いいんですよ、先輩と二人で絵を描くの楽しかったですし」
「ふふ、ありがと」
部屋の壁には先輩や僕が描いた絵が何枚も飾られている。どの一枚にも思い出があった。
「久しぶりに先輩を描かせてもらっていいですか」
「ええ、私も君を描きたいわ」
先輩は普通の大学に進学する。絵はあくまでも趣味で、進学後も続けるかはわからないという。
こうやって先輩と向き合って絵を描くのはこれが最後になるかも知れない。
一段落つくと、先輩は一冊のスケッチブックを僕に手渡した。
「これは君が来る前に卒業した、私の2つ上の先輩が描いたものなんだけどね」
「へえ、上手ですねえ」
スケッチブックには女子の名前が書かれていた。失礼だが、中の絵は先輩よりも格段に上手だった。
「この前久しぶりに会ったんだけど、今年短大を卒業したらプロのイラストレーターになるという話よ」
「すごいじゃないですか!先輩も目指してみたらどうですか?」
「無理よ私には。それより、もっとページめくってみて」
先輩に促されて、スケッチブックのページをめくる。
「あ、これが高1のころの先輩なんですね」
今とは違うロングヘアのお下げ髪をしている。かわいい。当時の先輩の姿がもっと見たくて、僕はさらにページをめくる。
「先輩、これって……!」
僕は言葉を失った。そこに描かれていたのは後ろ向きとは言え裸の上半身だった。
「女同士だったからね。本当は人物デッサンはヌードから始めるのが一番なのよ。体の構造もわかるし」
「そりゃそうかも知れませんけれど……」
先輩の背中に僕は釘付けになっていた。分けられた髪の間から覗くうなじ、肩甲骨、そしてうっすらと浮き出た背筋……。
「他の絵も御覧なさい」
背中が描かれたということは、次にあるのは……僕は震える手でページをめくる。
期待通り、今度は胸がはっきり見える角度からだった。
「綺麗でしょ?」
恥ずかしげもなく先輩は言い放つ。さらにページをめくると、今度は正面からの全身図。しっかりとアンダーヘアも描かれている。
大好きな先輩の裸を立て続けに見せられて、僕は頭の中が真っ白になっていた。
「これを君に渡したってことは、わかるわよね?」
「……」
僕は言葉を返せなかった。
「君にも私のヌードを描いてほしいの。嫌とは言わせないわよ」
「は、はい。むしろ喜んで描きます!未熟な僕の腕で良ければ!!」
改めて先輩の口からそう言われたので、僕は全力で答えた。
「とりあえず今日はもう遅いから、月曜からはじめましょうか。そのスケッチブックは参考として貸してあげるわ」
つまり、家で好きなだけ先輩の裸を見ることが許されるのか!
「私はこれから大学について先生と相談することがあるから、先に帰っていいわよ」
興奮する僕を察したのか、先輩はそう言って美術室を後にした。
僕は全力疾走で家に帰ると、先輩のヌードデッサンを使って精が枯れ果てるまで自慰に耽った。
大先輩が真面目に描いた絵を、そして先輩をこんな目で見ることは強い背徳感があったが、余計に興奮させる要因でもあった。
さすがに土日になると落ち着いて、冷静に絵を見られるようになった。そして「保存」も兼ねて、ヌードデッサンの模写を始めた。
今までは漫画のタッチで裸のイラストを描いたことはあったが、それとはまったく違うものだと感じた。
そして性的関心だけでなく、純粋に絵の題材として先輩のヌードを描けるということに関心を持った。
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