第3話:先輩が裸になる

「準備はできたかしら」


月曜の放課後、僕たちは先輩の部屋にいた。

僕はここに来るのも初めてなのにも関わらず、今からここで先輩が裸になる。

覚悟を決めてきたとはいえ、未だに現実感が薄かった。

「はい、僕の方はいつでも」

画板とスケッチブック、鉛筆を構えて僕は答えた。


「それじゃ、始めるわよ」

その言葉とともに、先輩は制服を脱ぎ始めた。

まずはセーラー服の上着から。正面のジッパーを下ろして袖を抜き取ると、制汗スプレーの甘い香りがふわっと漂う。

ブラは付けていないようだ。僕の目の前でキャミソールを脱ぐと、2年前のスケッチとあまり変わらない2つの膨らみが露わになった。


「全部脱いで構わないわよね?」

胸に見とれている僕に向かって平気でそう言い放った。

最初は上半身のみかと思ったが、いきなりオールヌードになってくれるようだ。

「は、はい、お願いします」

靴下を脱ぎ、スカートを下ろすと、その下にあったショーツは意外にも白くて飾り気のないものだった。

その下着も躊躇せずに脱いで、文字通りの一糸まとわぬ姿になった。


「どうかしら?」

先輩は腰に手を当てて、全身を見せつけるように僕に尋ねた。

2年前のスケッチではうっすらとしていたヘアはすっかり濃くなり、秘密の場所を覆い隠していた。

「き、綺麗です」

それしか言葉にできなかった。大好きな先輩が僕の前で裸になっている。一番無防備な姿を見せてくれている。

それだけで死んでもいい。しかし、ここからが本番だ。真面目に絵を書かなければならない。


「ポーズはどうしようかしら」

「あ、それなら正座してもらっていいですか?」

模写したスケッチの中でも、正座した姿が美しいと思ったのだ。背筋がまっすぐに伸び、腰のラインも強調される。

まさに日本女性の美しさを最も際立たせる姿勢ではないかと思う。

「わかったわ。向きはどうする?」

「僕から見て少し斜めに……はい、そこでお願いします」


先輩が僕の指示通りにポーズをとってくれる。

改めて斜めから見ると、2年前と比べると腰回りに肉が付いて、より女らしい体になっていることがわかる。

抱き心地がよさそうだな、という邪念を振り払い、僕はデッサンを始めた。

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