リセットと違和感
0話 リセット
……なんだろう?頭が、ふわふわする。
なに、してたんだっけ?
「………ゴボッ、ゴホッ」
なんでだろ。しゃべれないや……?
「………?」
気になって俺が、恐る恐る目をあけると、俺は水の中で浮いていた。
不思議と息をしなくても、苦しくはなかった。
なんで、俺───なにしてたんだっけ?
「っ!?」
そうだ、俺、死──
「ゴボッ……」
そう思った瞬間、急に頭が痛くなって、周りの水が真っ赤な炎に変わった。
──熱い、熱い、熱い……。
今度はとても苦しくて苦しくて、意識が遠退いていく気さえ来た。
しばらく苦しんだ後、見覚えのある少女が話しかけたきた。
「あ-あ、思い出したら、ダメじゃん……」
少女は一人、クスクスと笑っている。
「……大丈夫そ?」
「まぁ、いいや!……ねえ、リセット、したぁい?」
リセット?なに、言ってるんだ?
「あぁ、言葉が足りなかったね。人生リセット、したくなぁい?」
そう言いながら少女は一人、ニヤニヤと笑っている。
不気味だ。それになんだか怪しい。でも、なんか見覚えがあるような?
すると、無意識に言葉が出てきた。
「……あお?」
俺が呼ぶと、あおはとても美しく、儚げに微笑んだ。
さっきのふざけたような笑いかたじゃない心からの笑み。
少し、あおは涙を拭うような仕草をしてから静かに、「ごめんね」と謝った。
それが、何に対しての謝罪なのかは、俺にはよくわからなかった。
次の瞬間、あおがパチンッと指をならすと一気に空間が変わり痛みが消える。
「…あ、ゴホッ、ゴホッ」
うう、苦しい……。さっき声が出たのは、偶然か……?
俺が苦しんでいるとさっきまで立ち尽くしていたあおがしゃがんで俺と目線を合わせてくれた。
「……無理しないで」
声を出すのが怖かった俺は静かにうなずいた。
ふと、ここがどこだか気になって俺は辺りを見渡した。
すると、壁一面に敷き詰められた赤、青、黒、白の4種類の時計が見えた。
目を細めながら辺りを見渡す俺を見て、あおは丁寧に、この空間についてのすべてを教えてくれた。
「まず、この空間は私のおうち……ほら、あそこにモニターがあるでしょ?」
あおが指を指した方向……俺の真後ろを見ると、確かにモニターがあった。
……気づかなかった。
「えへへ、いつも、あそこで君たちのこと、見てたんだ~……」
感傷に浸っているのかなんなのか、あおは目を閉じて、手をぎゅっと握った。
次に目を開いたあおの目には、少し涙がうかんでいて、今にもこぼれ落ちそうだった。
「……えへへ、ご、ごめんね~!」
一気に明るくなったあおだけど、無理をしているのは明らかだった。
手を伸ばそうとしたけど、体に力が入らなくってみっともなく転んでしまった。
「……えっと、次は時計だね、あの時計を使うと、時間を巻き戻せるんだ~」
「………」
「赤は、葵と天音、二人が亡くなった証拠。青は、葵が亡くなった証拠。黒は、私が亡くなった証拠。白は、なにもない証拠……」
どういうこと、なんだ……?
「あのね、この時計、実際に時間を戻すことはできないの……。
この時計は────────を、──して、好きな──に、戻る、ことができる時計」
耳鳴りがうるさくて、大事なところが聞こえない。
話終えたあおは、立ち上がって一つ、白の時計を手に取った。
時計の針を、楽しげにくるくると回して、終わるとあおは、俺に時計を渡した。
「……頑張って」
「私も頑張るから……ね?生きよう……今度は!」
「………っ?!」
あおが意味深に微笑んだあと、次の瞬間、俺はすべてを忘れた。
────────────────────
葵を送ったあと、私はその場で泣き崩れてしまった。
「………生きてね、私の変わりに」
この時計には、もう一つのルールがある。それは──時計一つにつき、使った本人の寿命が一年削られること。
「あーあ、わたし、あと何年生きられるんだろ……」
「……これで死ぬとか、あり得ないから」
──あとがき──────────────
まず、最後まで読んでくださりありがとうございます。
そして、更新遅れてしまい申し訳ございません。
これから少しずつ頑張っていきたいと思います!
これからどうなっていくのか、見守っていただけると嬉しいです。
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