第4話 雨の日の筋トレ
次の日、外は雨だった。ボクは濡れると身体が冷えてしまうので、雨の日は外に出たくない。こういう日にすることはただ一つ。
ボクは部屋の真ん中に立ち、TFを始める。筋肉がバッキバキに膨らんでいき、お馴染みのマッチョトカゲに変身した。
太い腕、太い足、太い尻尾、そしてボクの顔より前に突き出るほど分厚い胸筋。ボクはトカゲだけど、恐竜と言われてもおかしくない見た目だね。
ボクは部屋の隅に置いていた巨大な岩の前に立った。これは、雨の日の筋トレのためだけに外から運んだものだ。大きさは今のボクの身長の3倍くらい。重さは20トンくらいだろうか。
「よし、行くぞ」
ボクは岩を両腕で持ち上げ始めた。
「ぐおおぉぉ……」
メキメキ、ミキッ。
これだけでも筋肉がパンプアップする。血管も浮き出てくる。この感じ、たまらないな……。
ボクは岩を頭の上まで持ち上げると、その場でかがんで岩を背中に乗せる。手を床につけ、足を後ろに伸ばし、腕立て伏せの姿勢になる。
「よし、行くぞ……。フンガァッ!!!」
ボクは岩を背中に乗せて腕立て伏せをし始めた。腕を曲げて姿勢を低くし、腕を伸ばして身体を岩ごと持ち上げる。これをひたすら繰り返す。
「フガガガアッ!!!!!」
雄叫びを上げ、全身から滝のように汗を流しながらも続ける。腕や胸の筋肉はこれ以上ないほどにパンプアップし、極太の血管が浮かび上がる。
ボクはこの瞬間が好きだ。マッチョとして生まれてきた者の宿命だと思う。自分の限界を超えられる喜び。それが味わえるからだ。
極限の腕立て伏せを100回し、岩を元の場所に戻す。息は切れているけど心地良い疲労感に包まれている。
ふと自分の身体を見下ろしてみた。極限までパンプアップされた肉体が目に入る。極太の血管が筋肉で押し出され、身体の表面に浮き出ている。ボクは思わず見惚れてしまった。自分のなのにね。
そうだ、バルクアップをやってみよう。ボクは全身の筋肉に力を籠め始めた。
「フンヌーーッ!」
メキメキと筋肉が膨らもうとするのをぐっとこらえる。溜めて一気に解放する方が大きくバルクアップできるし、見た目のインパクトもある。ボクは全身に力を入れ続けると、徐々に体が熱くなってきた。
「ハア……、ハッ、ウグゥ……」
息も荒くなり、額からは大量の汗が噴き出す。筋肉の膨張する力も大きくなっていく。
「フンガァッ!」
ついに我慢できなくなり、溜まっていた力を思いっきり解放した!
ドォン!!
爆発音が響き渡ると同時に、ボクの身体は二回りほど大きくなった。腕は太く大きく、脚も同様に大きくなり、さらに肩幅も広くなった。胸板はさらに厚みを増してもはや壁のようだ。
ボクは大きく深呼吸をして、自分の身体を眺める。胸筋が分厚すぎて足元がよく見えないけど、凄まじい筋肉で身体が覆われているのは分かる。
「うん、なかなかいいじゃないか」
ボクは自分の筋肉を見て満足げに言った。自分で言うのもなんだけどね。
あの日までは、まさかこんな素晴らしいTF能力が手に入るとは思わなかった。本当に、あの師匠には感謝だよ。
今までの筋トレでボクの身体は熱くなり、汗でびしょびしょになっていた。ボクは外に出て、雨をシャワーのように浴び始めた。筋トレ後の水浴びは気持ち良いし、水を浴びるのは身体にも良いのだと聞いている。
しかし、浴び過ぎると身体が冷えてしまうので、ほどほどで切り上げて洞窟に入る。さて、次は何をしようかと考えていると、
「あの、すいません」
誰かが声を掛けてきた。
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