第25話 神クラスの奴隷商人最強獣人奴隷ですが、ご主人様が大好きです!
「テメエ、ごらああ! テメエェエエ!」
「あーるぇええええ!?」
目の前でご主人様がキレてた。多分、ボクの為に。
ボクもキレてた。あのアアルってのが『へぼ奴隷商』って言った。
アアルにはご主人様がいっぱい怒ってくれるだろう。
そして、ボクは、アアルに詰め寄るご主人様に襲い掛かろうとして飛び出したアアルの部下っぽいヤツらにこの怒りをぶつけてやった。瞬殺だ、瞬殺!
ああー、発情期のせいもあってイライラする! 許せな……
「いいかあ! ウチのリオはかわいいものが好きなかわいい子なんだよ!」
わ、わ、わおおおおおおおん!? ご、ご主人様!?
「顔も美人顔なのに、かわいいものが大好きなんだよ!」
わおおおおおん! 美人!?
「すっごいかわいいギャップだろうが!」
ボク、かわいいギャップ!? ボク、ギャップかわいい!?
「花だって、お花さんって呼ぶし」
わ、わおおおおお!
「凄く一生懸命育てるし、花が咲いたら報告しに来る時のしっぽぶんぶん付きのわんわん笑顔は最強無敵のかわいさなんだよ!」
わおおおおおおおおおおお!
「いいか、リオにかわいいは絶対だ! なぜならば! リオは最強にかわいいからだ!」
わ、わ、わ、わおおおおおおおおおおおん!
おかしくなるおかしくなる! ご主人様に色々言われて、おかしくなっちゃう!
しっぽがぶんぶんし過ぎて千切れそう……!
お願い、ご主人様ぁ、もうドキドキしすぎておかしくなりそうだからぁ……!
「も、もういいよぉ……ご主人様……」
ああ、ご主人様! ご主人様! ご主人様!!!
ご主人様……好きすぎるよう……!
なんて、思ってたらご主人様が申し訳なさそうな顔でこっちに来る!
「ご、ごめん! リオ!」
「待って! ご主人様……今は、近づかないで……今、近づかれると、ボク、ヤバいかも……!」
今のこのどきどき状態で、ご主人様の匂いを嗅いだら、間違いなくボクにこんな力が……? ってくらい力が出ちゃってご主人様を襲ってしまう……!
距離を保って、気持ちを落ち着かせようとしていたら視界の端であのアアルが……。
「ん? あ! ご主人様! アイツが!」
アアルが遠くまで逃げ出していた。
「く、くそ! なんて国だ! あーほあーほ! クソ奴隷商とクソ奴隷が! 帝国の力でお前らなんか……覚えていろであーる!」
遠ざかっていくアアル。けど……
「「今……なんて言った?」」
キレたぞ。ごらぁ……。
「ご主人様をクソ奴隷商って言ったのか、おまえええええ!」
「リオをクソ奴隷って言ったのか、てめええ!」
絶対に許さない!
「リオ! アレやるぞ!」
「うん! ご主人様っ!」
ご主人様のやろうとしている事なんてすぐに分かる!
だって、ボクはご主人様の奴隷だから!
ご主人様が蹴りの態勢に入ると、ボクはその足に飛び乗り、ぐっと身体を縮こまらせた。
「お願い! ご主人様!」
「うあああああああ! 【
ご主人様の鋭い蹴りに合わせて、ボクは跳ねて、アアルを追いかける。
これがボクとご主人様の合体技!
ご主人様の蹴りでボクを飛ばす【
二人で考えた二人の合体技……ふひひ、合体技ってなんかいいよね、一心同体って感じで……離れられないって感じで……。
「は? ひ、ひえええええええ!? あーるぅええええー!」
あっという間に追いつき、思いっきりぶん殴ってやった。
そしたら、アアルは色んなみせちゃいけなさそうなものを全部曝して気絶した。
「リオ、やったね!」
ご主人様がそう言って笑ってこっちにくる。
だけど、ボクはさっきの発言を思い出してしまって、
『いいかあ! ウチのリオはかわいいものが好きなかわいい子なんだよ! 顔も美人顔なのに、かわいいものが大好きなんだよ! すっごいかわいいギャップだろうが! 花だって、お花さんって呼ぶし、凄く一生懸命育てるし、花が咲いたら報告しに来る時のしっぽぶんぶん付きのわんわん笑顔は最強無敵のかわいさなんだよ! いいか、リオにかわいいは絶対だ! なぜならば! リオは最強にかわいいからだ!』
「わ、わおおおおおん!」
「リ、リオー!?」
ドキドキがかえってきてもう爆発しそうで、襲いそうで、危ないと思って、ダッシュでウチに帰ってご主人様が買ってくれたかわいい天蓋付きのピンクのベッドで丸まった。
けど、さっきの言葉と、部屋の中のどれもがご主人様がくれたり、ご主人様との思い出の物、そして、ヴィーナが盗って……貰ってきてくれたご主人様の私物ばかりでもうドキドキが止まらなかった。
そして、ご主人様がヴィーナ達と一緒に帰ってきた音がする。
一番最初にボクのところに来たのはヴィーナ。
ご主人様は多分、風邪の二人の所にいった。そういう人だから、好き。
「あのクソ筋肉バカ道場主は、違法薬物所持の罪で、王国軍に捕らえさせました。そして、道場の奴らは使い道がありそうだったので『分からせて』帝国に帰らせました。今後イレド様の為に何かの役には立つでしょう」
流石、ヴィーナ。何もかもばっちりみたいだ。
「ああ、そうそう。イレド様、この後、来ますよ。貴女の為に、お祝いの花束とそれはそれはかわいい人形を祝いのプレゼントとして持ってきてくださるそうです」
「え?」
「……『偶然』発情期と大会日程が被ってよかったですね。発情期なら仕方ありません。ご主人様に、鎮めてもらえるようお願いしてみたらいいんじゃないかしら?」
ヴィーナはそう言って、色気たっぷりに笑う。
余りにも綺麗で色っぽいその笑顔に、ボクはドキドキしてしまう。
ヴィーナって……。
「その、ヴィーナはいいの? ボクと、ご主人様が……」
「嫉妬は勿論します。ですが、イレド様にとっても、私にとっても、貴女は大切な存在なんですよ。それを忘れないでください。そして、そんな大切な貴女となら、イレド様を一緒に愛したいと思っているのです」
ヴィーナはそう言うと、何かを察して部屋を出て行く。
敵わないなあ……今は。
そして、考えるのはやめよう……今は。
ドアがノックされる。
そして、ボクは導かれるようにドアを開く。
そこには、ボクの閉じかけていたドアを開いてくれた大好きな人がとてもきれいなお花さんととってもかわいいピンクの服を着たお人形さんを抱えていた。
けど、ボクが一番欲しいのは。
わ、わ、わ、わ、わ、わおおおおおおおおん!
ご主人様、大好きだよー!
ボクは思わずご主人様を引きずり込んだ。
もうボクから逃げられないよ、ご主人様。
だって、ご主人様が、ボクの未来の扉を開いてくれた。
そして、ボクをご主人様大好きにさせたんだからね。
絶対に誰にも負けるもんか!
がおー!
神クラスの奴隷商人のハズが一人も売れません!
第二部【武闘大会でも売れない最強獣人奴隷】編
完
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