第4話 神クラスの奴隷商人なので奴隷を見ます!
早くしなさいというヴィーナの視線も怖いので、僕が使える神スキルの内の一つを発動させる。
「【
僕はアクアの文字通り身体の隅々まで視る。
このスキルは、奴隷の状態を詳細まで知ることが出来るスキルで、ステータスから状態、魔力の流れまで全て見通すことが出来る。奴隷限定だけど。
「どうですか? イレド様」
ヴィーナが、僕の肩に顎を置いて、耳元でぼそりと呟いてくる。
背中に柔らかい感触があるし、勘違いしそうになるからやめてほしいんだけど、顔を赤くしたりすると、ヴィーナが調子に乗るので無視する。
ちょっとヴィーナ、指で背中をなぞらないで。
「うん……竜鱗病ってので間違いはないようだね。原因は、身体に埋め込まれた鱗みたい……。ヴィーナ、スコルを呼んでもらえる?」
「……かしこまりました」
ちょっと口をとがらせながら、不満そうなヴィーナが去って行こうとする。
「ヴィーナ……どきどきしちゃうから、やめてね」
「……! ふふ、じゃあ、時々どきどきさせますね」
口元に人差し指を持ってきて、どきりとするような笑顔でヴィーナは、スコルを呼びに向かう。
その間、アクアと二人きり。アクアはずっともじもじしていた。
「大分、楽になったみたいだね」
「え? あ、そういえば……なんで……?」
「これだよ」
僕は、自分の掌の中に、桃色の魔力球を作ってみせる。
「これは……?」
「これは僕の神スキルの内の一つ、【
そう言って、僕は、さっきは驚かないようにこっそり与えた魔力を、目に見えるようにお腹の中に押し込んであげる。
「んっ……!」
アクアが色っぽい吐息を漏らす。可愛らしい見た目とのギャップが凄い。
無心だ、無心。
「すごい……身体がポカポカして、楽……それに……」
「それに?」
「……なんでもない、です。ありがとうございます」
アクアはそう言ってプイと僕から視線を逸らす。
奴隷と奴隷商人は信頼関係が一番だと僕は思うんだけど、先は長いかもしれない。
「なにを、イチャついてるんですか?」
気付けば、ヴィーナが傍にいた。大丈夫、手は出していない。性的な意味では。
「イチャついてるわけじゃないよ。魔力譲渡していただけで」
「……私にも、してください」
僕の袖をちょいと引っ張りながらヴィーナがおねだりをしてくる。
どうやら、僕の魔力譲渡は気持ちいいらしく、他の奴隷も毎日お願いしてくる。
まあ、神クラスのせいか、魔力は余るほど有る上に、他のギフトがないから使い道もそこまでないので、魔力がなくなって困ることはないからいいんだけど。
でも、余り癖になっても、買われて行った時ちょっと困るんじゃないかなと思うんだけどなあ。
ヴィーナは、袖を掴んだまま、潤んだ瞳でこっちを見てくる。
大人っぽいヴィーナの子供っぽいこのおねだりは反則だ。
無心だ、無心。
それに、なんだか、アクアのじとーっという感じの視線を感じる。
ごめんね、今はアクアのことだよね。
「ヴィーナ、あとでね。それより、スコルは?」
そんなやりとりをしていると、勢いよく扉が開かれ、彼女がやってくる。
「はっはっは! イレド君! 聞いたよ! 竜鱗病患者だって!? いやあ、本当に君の奴隷になって正解だよ! 退屈しない!」
白衣に身を包んだ医者でありながら奴隷、スコルが興奮した面持ちでこちらを見ていた。
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