第24話 イチの挑戦。
自分の部屋に戻った俺は、キジ丸に戻りキッチンへ下りると、イブキとイチが話をしていたので、挨拶をしてメンバーがどこに居るのか聞く。
「はい、地下の訓練場に全員集めてます」
「オッケー、じゃあ解除しに行くか」
「あっ、師匠」
「ん?」
「商品の補充をお願いします」
「ああ、後でやっとくよ」
うむ、そろそろイチも影忍になれるかな?
俺は地下の階段への仕掛けを動かしながら、イチにユニークスキル習得はどんな感じか聞くと既に習得したとの事。
「ですが、まだ全てを把握しきれていないので、調べてから報告しようかと」
「まあ、習得出来たなら次は影忍へのクラスアップだな……近い内に里へ行って受けてみるか? 無理そうならまだいいが……」
するとイチは少し考え……。
「分かりました。受けます」
「よし、じゃあ、明日の朝、影の里へ行こう」
「明日ですか!?」
「ああ、何か用事でも?」
「いえ! 大丈夫です」
「準備しとけよ」
「了解です」
俺はそう言って階段を降り、地下の訓練場へと向かった。
地下の訓練場には12名のメンバーがおり、男6女6だ。
俺は1人ずつ背中に触れ、悪魔の魔法に掛かっているのか確かめると、やはり全員掛かっていたようで、魔力が同化するようになっているのを解除する。
途中、ふとリオールの時は違った事を思い出す。
絡まるようになっていた魔力。
なぜ他とは違ったのか分からないが、別の魔法を掛けられていたのかもしれないと思いながらも解除作業を続け、30分程で全員の解除が終了。
全員に記憶はどうなっているか聞くと、全員途中からルゥが女王になった事をはっきり思い出したので問題無い事を確認し俺は、全員に精神耐性を習得するように告げる。
「精神耐性?」
「ああ、安心しろ。ちゃんと習得させる方法は分かってるから明日影の里から戻ったら習得させてやる」
そう言うと全員表情が硬くなるのが分かった。
「? ……あぁ、そんなキツイ事はしないから大丈夫だ。ちょっと夢を見るくらいだから」
「夢? それは……」
「まあ、明日のお楽しみで、じゃあ、全員今日はイブキ達の家に泊っていけ」
『はっ!!』
全員が良い返事をするのでちょっと引く。
凄い威圧感だな。
その後俺達は、いつもの訓練をしてから晩飯を食い、ベッドの中で眠りに入る。
翌日、日が昇る少し前に目が覚め、顔を洗ってキッチンへ行くと既にイチとメルナが朝食の準備をしており、挨拶を交わし席に着くと丁度地下からサヤとハルが入って来た。
「おは~」
「キジ丸さん、おはようございます」
「おは~、そういや俺とゼロが帝国に行ってる間、サヤはどうしてたんだ?」
俺の対面に座りながら答えるサヤ。
「フッフッフッ、私はとうとう影忍になったのだよ。キジ丸君」
「へ~、どこで?」
「風の里だけど?」
まあ、ここから一番近いのは風の里か。
それにしてもよくなれたな。
「私のユニークスキルでズバッと倒してやったわ。ってか、火になれば向こうの攻撃は殆ど喰らわないし、結構簡単だったね」
「その割には遅かったな」
「デスペナ受けるのはもう嫌だからねぇ」
と言いながら、イチに出してもらったお茶を飲むサヤ。
ハルはどうなのか聞くとまだ上忍らしく、ちゃんと訓練はしてるようで、そろそろクラスアップが出来るとの事。
この後、イチが影忍の試練を受ける事を伝えるとサヤが。
「イチちゃん、最初の攻撃には気を付けてね? あいついきなり来るから」
「はい、ありがとうございます」
そんな話をしながらも朝食が出来上がり、全員で頂く。
朝食を食いながらメルナに、訓練はどんな感じか聞くと。
「はい、感覚共有は出来るようになりました」
「そうか、ならここから成長は速くなるだろうし……上忍になったら帝国に行こう」
「っ! ……はい!!」
「復讐?」
サヤが聞いてくるので頷く。
「メルナちゃん、復讐なんてやめなさいとは言わないけど……気を付けてね?」
「はい、ありがとうございます!」
「復讐が終わったら、ちゃんと帰ってくるのよ?」
「お前はかあちゃんか」
「だって、復讐が終わって抜け殻になったらどうすんのよ?」
抜け殻って。
「復讐が終わった後どうするかは、メルナの自由だろ。旅に出ても良いし、強さを求めて訓練に明け暮れるのも自由だ」
「それはキジ丸だけでしょ」
「訓練に明け暮れてねぇよ……いや、そんな時期もあったか」
「ほらやっぱり」
「まあ、それは復讐が終わった後考えれば良い、とりあえず目の前の事に集中だ」
「はい!!」
そんな話をして朝食を食い終わると、一服してからイチを連れ影の里へ影渡りで転移した。
サスケさんの屋敷へ行き、イチを紹介し影忍の試練を受けさせる事を伝えると。
「おお、試練に挑戦する者が新たに現れるとはね。流石キジ丸君の弟子だ」
「いえ、私などまだまだです」
「じゃあ、地下の空間使わせて頂きますね」
「ああ勿論……それと、後でちょっと良いかな?」
と、急に真剣な表情になりそんな事を言うサスケさん。
何かあったのかと思い了承し、イチを連れて地下へ向かった。
また何か問題が?
あぁ、裏の忍びの事かな?
そんな事を考えながら地下へ到着すると試練の受け方をイチに説明し俺は、分身を1体イチの影に残し上に戻る。
死ぬかもしれないからね。
戦いに手を出さなければ問題無いはず。
「じゃあ、頑張れよ」
「はい!!」
俺は上に戻るとリビングへ向かい、サスケさんがまだお茶を飲んでいたので向かいのソファに座る。
するとカナエさんがお茶を出してくれたので、一口飲んでから尋ねた。
「で? 何かありました? 念話でも良いと思いますけど」
「いや、まだ話す気は無かったんだが丁度来たからね。それなら一応伝えておこうと思ってさ」
「もしかして裏の忍びの事ですか?」
頷くサスケさん。
やっぱり。
「少し前からちらほら報告があったんだが、里の者が狙われ始めたよ」
「……それは忍びにって事ですか?」
「ああ、既に任務や私の指示で里を出ている者が、数回襲われている」
「殺された?」
俺は目を鋭くし尋ねるとサスケさんは、首を横に振り何とか返り討ちにはしたと答えた。
そうか、メンバーが殺されたと思ったが、返り討ちにしたなら良い、だが……。
「ちょっとウザいですね」
「ああ、まったくだ」
「俺のところに来てくれれば、根こそぎ引っこ抜くんですけど」
「おお、流石影忍様だな」
「はは……で? やっぱりそいつらの狙いは忍者を始末する事ですかね?」
「それはまだ分からん。引き続き調査はするが、捕らえた者は情報を引き出す前に自決するからね」
うむ、俺なら聞き出せそうだな。
「まあ、とにかく、今後裏の忍びには注意するように」
「はい」
そんな話をしながらも俺は、イチの様子を分身で見ていた。
……良い感じだな。
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