第15話 戦争が起きた理由?

悪魔が絡んでいるというゼロの言葉に驚いた帝国側、何も知らないようなのでゼロから説明を受けると。


「なんと……兵の半分以上が悪魔に」


と、アインリクが呟く。


「兵が悪魔化……」


将軍は険しい表情をし考え込んでいる。

他の騎士達は少し恐怖の色が見えるな。


「でだ……悪魔の事や兵が悪魔化した事は今はどうでもいい、それより事の経緯を聞かせてもらおうか?」


ゼロがそう言うとアインリクがふと我に返り、口を開く。


「ふむ、すまんな」


アインリクは一言謝り、事の経緯を話し始めた。


彼の話によると、数か月程前にテアード王国の王女が帝国に、匿ってほしいと訪れたらしい。

皇帝リオンはその願いを受け入れ、代わりに俺への復讐の手伝いをしてもらう事にした。

ゼルメアを帝国とテアード王国で挟撃する事だな。


そこから帝国が王女のバックに付き、王女をテアード王国のトップにするため力を貸し、女王となったシティアは、約束どおりゼルメアに攻め込んだ。


帝国は同盟国のテアード王国を侵略しているという理由でゼルメアに侵攻、これは適当に付けた理由だとアインリクは言う。



しかし、帝国側はテアード王国も帝国も負けるとは思っていなかったそうだ。

なぜならテアード王国には機械工学による兵器があり、帝国には大陸最強の武力がある。


そこで俺は口を挟む。


「兵器は誰が誰に貰った?」

「兵器?」


アインリクも将軍達も首を傾げる。

おかしい、会議で兵器を使うとか話していたとイブキが言ってたぞ?


「会議で第一皇女が使うとか言っていた兵器だ」


するとアインリクは将軍を見ると将軍もアインリクを見てお互い見つめ合うと、2とも俺を見て首を傾げながら。


「何の話じゃ?」「そのような話は出ていないが?」


ん?

この反応はマジっぽいな。

心眼でも本音は視えない。

って事は、イブキが嘘を吐いた?

……いや、そうする意味が無い。

だとすると……。



「テアード王国の王女シティアは、1人だったか?」


俺の質問に更に首を傾げながら頷く2人。

騎士達も頷くが、1人だけ微妙な表情をしている騎士が居た。


「お前、何か知ってるな?」

「えっ、いや……」

「何だ? 何か知っているなら話せ」


将軍がそう言うが。


「ですが……」


言おうとしないのでアインリクが申せと一言告げると。


「テアード王国の王女が城に来た時自分は、妻が体調を崩してしまい少し遅れてしまいました」

「それがどうした? 理由は後から報告があったから問題は無いぞ?」

「いえっ、それが……」


騎士が言うには、遅れて王女と皇帝が謁見している場面に遅れて入った時、皇帝も宰相も他の騎士や貴族達も、全員テアード王国の王女だけと話をし『王女の後ろに居た男』には一切触れていなかったのが、違和感があったと言う。


すると将軍が。


「あの時そのような男は居なかったぞ?」


続けてアインリクも。


「ワシも見たが、そのような者はおらんかったの」

「そうなんです。後で同僚に男の事を聞いても、誰もそんな人物は知らないと言うので、自分だけが見えていてその……おかしくなったのかと」

「なるほどのう」

「確かにそのような事を言っている者が居ると報告は上がってきたが、他の誰も見ていないから見間違いだろうと流したが……」


なるほどねぇ。

王女の後ろに居た男はおそらく悪魔だろう。


兵器の事を覚えていないのは、悪魔による記憶の改ざんか削除されている。

この騎士だけが見えていたって事は、城に来た時何か魔法を施したが、その時居なかった騎士だけが魔法に掛からず、男の姿が見えていたし記憶も残っているんだな。


これは厄介だぞ。

記憶を改ざんしたり消す悪魔。

情報を集めようにも、誰も覚えていないとなると発見は難しい。


そこで話を聞いていたゼロが口を開く。


「つまり、お前ら全員悪魔に騙されて戦争を仕掛けたって事か?」


全員その言葉で微妙な表情になる。

実際騙されてるからね。


するとアインリクがふと顔を上げ、何かを思い出したような表情をすると。


「そう言えば王女と会った後、リオンの行動がおかしくなったのう」

「そうでしたか?」

「ああ、それと……なんじゃろう? 何か忘れてるような」


これはまだ魔法に掛かってるぽいな。


俺はアインリクの背後へ歩いて行くと騎士達が剣に手を掛ける。


「安心しろ、悪魔の魔法を解いてやろう」

「悪魔の魔法? アインリク様が掛けられていると?」

「その騎士以外全員だな」

「魔法を掛けられている事すら分からんものを、解除できると?」

「ああ、おそらくな」


そう答えながらアインリクの背中に手で触れ、呪いを解いた時と同じように魔力を流していき、すぐ魔力を止めると今度は神気を流す。


魔力を流した瞬間、弾かれてしまったのだ。

かなり強力な魔法らしい。

流石悪魔だな。



神気を流すと今度はすんなり入って行き、アインリクの体内にある他の魔力を発見。


……なるほど、こりゃ気付かないわ。

本人の魔力と殆ど同化してるようなものだ。


俺は少しずつだが、神気でその魔力を剥がしていき、神気で包み込み手を背中から離すと共に、体外に引っ張り出す。


すると俺の手には、黒い球が握らていた。


「解除した」

「おお! まさか悪魔の魔法を解除出来るとは」


俺はテーブルの上に黒い球を置き、これが原因だと告げると、全員黒い球を見る。


「黒いな」

「これが……」

「私の中にもこれが?」


将軍の問に頷く。


「それより……忘れている事は思い出したか?」


アインリクを見てそう聞くと。


「……思い出したぞ」


静かにそう言うと少し間を空けて話し始めた。


「王女との謁見後、別室で話し合いが行われた後……リオールが知らぬ男と話しておったのを」


そこからアインリクは色々思い出したようで、謁見の時に見知らぬ男が居た事も思い出し、将軍達も魔法を解いてほしいと言われ報酬は別途頂くと言い、解除した。


リオール……次代の皇帝は、悪魔と繋がりがあったか。



リオールが悪魔と繋がりがあると分かった以上、次代の皇帝には出来ないだろう。

ゼロがそう聞くと。


「ふむ……しかしリオールしかおらんからのう。他の子はまだ若い」

「では、アインリク様がもう一度皇帝の座に就いては?」

「既に引いた身じゃ、また皇帝になるのは勘弁してくれ」

「ですが、このままリオール様を皇帝にするというのは……」


そこで俺が提案を出す。


「ニミアが育つまで、アインリクが皇帝の代わりを務めれば良いのでは?」

「アインリク『様』と呼ばんか!!」


将軍が叫ぶので。


「拙者は帝国に仕えている訳ではないのでな。それより……リオールを皇帝にするならば、拙者が帝国を滅ぼしてやるぞ?」


少し神気による威圧を放つと帝国側は固まる。


「じゃあ……次は賠償の話をしようか?」


ゼロがニヤっと笑いがならそう告げた。

悪魔が原因だろうが、戦争を仕掛けたのは事実だからな。

賠償は必要だろう。


敗戦国だしね。

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