第10話 忍者VSナイトクラブ。

俺は縮地で騎士達が集まる中へ移動し、突然近くに現れた俺に驚いている騎士の首に魔糸を巻き付け、いっきに締め付け首を落とす。


俺の周囲に居る騎士達の首が落ち、血を噴き出して光の粒子になって消える騎士を見た他の騎士達は、盾を構えながら少し後退する。

ビビったな。


すると背後から1人の騎士が斬り掛かって来たので、身体を横へ逸らして避けながら振り返り、左手で奴の剣を持った右手首を掴み取り、引き寄せると顔面に浸透勁で右拳を打ち込む。


それで奴は目や鼻、耳から血を流し絶命すると光の粒子になって消えた。



「い、一斉に掛かれ!!」

「おらぁ!!」

「死ねぇ!!」

「こ、この野郎!!」


4人の騎士が全方位から斬り掛かってくる。


俺は加重を解き、腰の後ろにある短刀を両手に持ち、微かにずれて襲い掛かる剣を素早く弾くと鎧の隙間を狙って短刀を振り抜き、奴らの足、首、腕を切り裂く。


動きを止めた奴らの腹に短刀を握ったまま拳と蹴りを浸透勁で打ち込み、ほぼ一斉に吹き飛ばす。


すると3人は光の粒子になって消えたが1人だけ残り、片膝を突いた状態で魔法を使い回復すると立ち上がって盾を構えた。


ほう、強いね。

今ので死なないとは、体内に魔力を流して浸透勁を和らげたのか。


「気を付けろ! こいつの攻撃は鎧を無視して体内に入って来る!」

「全員魔力を流し常に強化!!」

『了解!!』


なるほど、そうやって対策をしていく感じね。

なら、対策出来ない技ならどうする?



俺は目の前に居る騎士の懐へ素早く移動し、短刀で鎧の隙間を縫うように足元から首まで斬りつけると、最後に心臓目掛けて短刀を持ったまま右拳を打ち込んだ。


その瞬間、ズドドドドドッ!! と連続で重たい衝撃音が鳴り響くと騎士は、吹っ飛ぶ事なくその場で血を吐き出し、絶命し光の粒子になる。


「なんだ今の!?」

「鎧がへこんでたぞ?」

「しかもあの連続で鳴った音、奴は一撃入れただけだぞ?」

「速すぎて見えなかったとか?」

「完全に見えないって、どんだけ速いんだよ!?」


深撃を使い衝撃を全て浸透させながらパンチだけの瞬影を使っただけです。


「もらったぁ!!」


すると右側に居た騎士が剣を振り下ろして来たので、右手の籠手で受け止め右足で奴の顔面右側に蹴りを入れると魔力を纏い引っ付け、奴の頭を支えに自分の身体を浮かせ、頭へ引き寄せながら顔面に左足で膝蹴りを入れると同時に、首の後ろに右手の短刀を突き刺し絶命させる。



騎士の頭を足場にし跳ぶと。


「馬鹿が、空中は身動き取れないだろ!!」


俺が落ちて来るのを待っている騎士達は、タイミングを合わせて剣を振り抜くが、その手前で俺の身体はピタッと止まり、剣が素通りしていく。


「なっ!?」

「はっ!?」

「えっ!?」

「マジッ!?」


魔糸を周囲の崖に張り付けて落下を止めました。


空ぶった奴らの四肢と首に魔糸を巻き付け、地面に着地すると同時に締め付け切断。


周囲に血が飛び散る中俺は、次の獲物に狙いを付け、縮地で背後に回ると首の後ろに短刀を突き刺し、後ろに立っている騎士の顔面に後ろ回し蹴りを入れ、足を張り付けるとそのまま奴の顔面を足場にして奴の顔の上に立つ。


すると騎士はまだ生きていたようで、盾を持つ手で俺の足を掴み。


「今だ!! 俺ごと斬れ!!」

「ナイス!!」

「ナイス捨て身!!」


周囲の騎士が俺に向かって剣を振り下ろし刃が俺に当たり、そのまま下の騎士にまで届いたところで俺の姿は消え、斬り掛かった1人の背後に瞬間移動すると首の後ろに短刀を突き刺し始末する。


空蝉術です。



「なっ!? 瞬間移動!?」

「これならどうだ!!」


1人の騎士が盾を前に構え迫って来た。

体当たりだな。


俺は左手に持つ短刀を上に放り投げ、左手を突き出し奴の体当たりを正面から止めた。


「っ!? 片手で!?」

「どんな力してんだよ!?」

「強化してるんだ!」


いえ、ただの腕力です。


閻魔鉱と加重、更に縛りによる訓練で全身の力はかなり鍛えられたのだ。

この身体なら大型トラックでも片手で止められそう。



体当たりしてきた騎士は踏ん張り、どうにか俺を押そうとするので地面を踏ん張るように蹴り、全身の力を奴へ流す。

ゲンスイがやっていた技だ。


騎士は身体が浮くように弾き飛ばされ、他の騎士を巻き込み吹っ飛ぶと続けて他の騎士が斬り掛かってくる。


俺はその場で上に跳んで避けると。


「また空中に、今度はタイミングを外すな!!」

「落ちて来るまで待て!」


騎士達は俺を見上げ落ちて来るのを待っているが……。


「……おい、浮いてないか?」

「ああ、空中に立ってる」

「忍者って浮けるのか!?」


いえ、放り投げた短刀を不動金剛術で空中に固定し、その上に立っているだけです。

サイゾウがやっていた技だな。


そしてこれからやる遁術も。



俺は魔糸で下に大きな印を書き発動させる。

その瞬間、俺の下に、奴らからしたら頭上に、大きな印が浮かび上がるとそこから、直径約10メートル程ある火球が発射され、地上に居る騎士達を焼き尽くしていく。


「あちっ!?」

「やべー!!」

「ぎゃああああ!!!」

「ガードだ!!」


燃やされる中、数人の騎士達は光の壁を張り、炎を防いでいる。

流石騎士。

防ぐ手段は持ってるか。



俺は光の壁で炎を防いでいる騎士に狙いを付け、上空から飛び下りると背中の直刀を抜きざまに斬り下ろし、騎士を真っ二つに切り裂いた。


「なっ!?」

「ガードを無視!?」

「反則だろ!!」


いえ、全力の斬気で斬りました。

切れ味はかなり増すが、結構集中しないとまだ発動出来ないんだけよね。


「怯むな!! ユニークスキルを使える者は使え!!」

「よし! 奴を捕らえる!!」


炎が燃え盛る中、直刀を持ち真っ直ぐ立つ俺を囲む騎士達。


魔力のみでここまで戦えるようになっている事に、ちょっと嬉しくなる。

しかーし!


忍者の戦い方はまだまだある。

覚えた技術や技もな。


全部試させてもらう。



ゼロの方は残した分身で、状況はちゃんと見ていた。


門を破壊した後、門前に居た兵士達も始末したゼロは、歩いて破壊した門を潜り、前方に立つ黒い騎士を見て怪訝な表情を浮かべる。


「こんな所に騎士が?」

「ふっ、俺達はクラン『ナイトクラブ』だ。剣聖ゼロ、この先には行かせねぇよ」

「ほう、ナイトクラブねぇ……まさか騎士の部活って意味か?」

「ああ、その通りだ」

「ダジャレかよ」

「俺達は……」


そこで俺の轟雷雨の雷鳴が響いてくる。


「何だ!?」

「後方から何者かが現れたそうです!」

「何人だ!?」

「……です」

「ん? なんだって?」

「……1人です!」

「はぁ? さっさと殺せよ!!」

「あの、それが……」

「何だよ!?」

「……最強忍者ハンゾウが現れたそうです」


すると赤味噌は固まる。

それを見てゼロが。


「そいつは俺の仲間だ。ハンゾウは強いぞ? なんせ俺に勝った奴だからな」

「剣聖に!? ……最強忍者というのは本当だったのか」

「まあ、あいつ以外の強い忍者は見た事ねぇな」


赤味噌は少し間を空けてゼロに振り向き。


「ハンゾウより先にお前を倒せば、後は全員でハンゾウを仕留めれば終わりだ」

「俺を倒す? 出来るのか?」

「はっ、剣聖だろうがお前は俺に勝てない」

「ほう、それは是非試したいな」


赤味噌は地面に突き刺した剣を右手で持つと引き抜き、剣の切先をゼロに向け。


「タイマンを申し込む! 俺と勝負しろ!」


ここに来てタイマンとは、全員でやれば良いのに……いや、何か理由があるのか?



じっくり見させてもらおうかね。

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