閑話4:ゼロVSカラス。

Side:ゼロ



俺が戦う事になったのは、年寄り口調の若い男。

細剣を2本ぶら下げている時点で二刀流なのは分かるが、こいつの仲間がさっき言ってたように賢者なら、ヒヨと同じ職業のくせに戦闘スタイルがまったく違う。


近接戦闘を鍛えた魔法使いか、面白いな。



「お主が剣聖なら、ワシは賢聖じゃな」

「いや、賢者だろ?」

「ノリの悪い奴じゃのう」

「ってか、なんで年寄りみたいな話し方なんだ?」

「そりゃ決まっておろう……趣味じゃ」

「趣味かよ……まあとりあえず、やるか」

「そうじゃな。動画を見て戦ってみたいと思っておったのじゃ」

「そりゃどうも、いつでも良いぜ」


すると奴は突然姿を消したと思うと俺の目の前に前屈みで姿を現し、腕をクロスし腰の細剣を抜きざまに斬り上げてくる。


俺は腰の剣を抜きざまに斬り上げ、2本の細剣を弾くと共に奴の身体も後退させ着地した奴は笑みを浮かべながら。


「流石剣聖じゃ。パリィがとんでもない威力じゃの……」


今のは魔力を流しながらパリィをし、奴の身体ごと弾いた。

これは悪魔を倒すためにやってたら出来た事で、現在練習も兼ねている最中なのだ。


「実に面白い!!」



奴が突進してくる最中、俺の左右に魔法陣が出現し、火球が飛び出してきたが、剣に魔力を流し、瞬時に2つの火球を切り裂くと続けて迫る奴に向かって振り下ろす。


その瞬間、雷撃が放たれ、奴に直撃する……が、光の壁に弾かれてしまい、そのまま奴が迫り、2本の細剣を交互に振り抜いてくる。


俺は奴の斬撃を躱し、受け流し、弾きながら。


「結界か」

「そうじゃ……ワシは賢者、魔法でワシに勝てると思うてか?」

「……ならこれはどうだ?」


斬撃を躱しながら俺は、技を発動させる。

その瞬間、世界が青色に変わると、隙を突いて剣を横に振り抜く。


すると奴は雷撃をもろに喰らい、後方に吹っ飛ぶ。


「ぐあっ!? ……何じゃ!?」


着地し回復しながら奴は驚いている様子。


「零流剣術奥義・青天の剣」

「晴天の剣じゃと?」

「青な青」

「ワシの結界を無効化するユニークスキルか」

「さぁ? それはどうでしょう?」


ユニークスキルだが、結界を無効化する訳じゃない。

これは無の境地の逆バージョンだ。


無の境地は物理無効と相手に俺の斬撃を、どこにいても届けるユニークスキル。

そして青天の剣は、斬撃を全て魔法攻撃にし、どこに居ようが魔法攻撃を届け、相手の魔法も無効化するユニークスキルなのだ。


ちなみに相手を認識していないと攻撃を届ける事は出来ない。


まあ、無の境地のとは逆なので、相手の物理攻撃にはかなり弱くなるんだけどな。



「賢者のワシと魔法の勝負か」

「剣聖の俺に対し、剣で挑んで来た賢者が言うな」

「ククク、面白いのう……ではワシの最大魔法で仕留めてやろう!」


そう言うと上空に直径約20メートル程ある魔法陣が展開すると次の瞬間、魔法陣から大量の光弾が降り注ぐ。


しかし、俺に当たる寸前で見えない壁に防がれ、まったく喰らわない。

勘違いしてくれて良かった。


剣で来てたらまだ勝てる可能性はあったのにな。

ハンゾウのように見抜く力が無いと、これは突破出来ないぜ。


「じゃあな。またやろう」


そう告げると俺は、剣を1秒も経たない間に10回程振ると、奴の身体に炎や氷、雷等の傷が生まれ、奴は笑いながら光の粒子になって消滅した。



こいつとはまた戦ってみたいものだ。

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