閑話1:ライバル。
Side:ゼロ
キジとのチャット中にいきなり、敵の後方から赤い眼をし黒い靄を纏った兵士達が押し寄せて来たのだが、キジいわくあれは悪魔の眷属みたいなもので、やられるとステータス値とスキレベが初期値に戻るという、ゲームでは決して出会いたくない敵が現れた。
後方で兵の指揮を執っているトリナマにボイチャを掛ける。
『何かあった?』
「今直ぐ兵を引かせろ! 悪魔の眷属だ!」
『っ!? 分かった!』
それだけでトリナマはボイチャを切り、すぐクランメンバーの騎士に念話で知らせたのか、前に出ている兵と騎士達が後退してくるが、既にやられている兵は少なくない。
プレイヤーはまだやられていないが、このままだと騎士の誰かがやられる。
そう思い俺は、アイドールを残し走って前に出ると、後退する最後の兵の横を通り過ぎた所で剣を薙ぎ払う。
その瞬間、俺の剣から雷撃が放たれ、数十の敵兵を黒焦げにした。
キジの作った人工魔剣『雷帝』
魔力を流すだけで発動出来るのは、かなり便利だな。
悪魔化した兵士にも多少当たったが黒い靄が溢れ、すぐ再生している。
確か悪魔は魔力を流さないと死なないんだっけか?
そんな事を考えていると上空から気配がしたのでそちらに目をやると、黒い影が段々と大きくなり目の前に降って来る。
土煙を上げ着地した何かの気配を探っているとブワッと風が巻き起こり、土煙が晴れるとそこには、見た事がある男が大剣を担ぎ笑みを浮かべながら立っていた。
「……よう、ゼロ」
「お前か、何しに来た? って、分かり切ってる事か」
「そうだ。同じ剣聖同士、どっちが強いかはっきりさせようぜ?」
そう言う奴の眼が、一瞬赤く光る。
「お前……まさか、悪魔になったのか?」
「ハハハッ!! よく分かったな!? そうだ! 俺は最強の種族に生まれ変わったんだ」
「プレイヤーのお前が悪魔に……マジか」
そう、今目の前に居る男は、俺と同じ職業の剣聖で、以前俺に戦いを挑んで来た男。
名前は『ミキヤ』、黒髪の短髪で厳つい顔をし、いつもタンクトップを着た筋骨隆々の大男で、大剣を使うスタイルだ。
同じ剣聖でもスタイルはいろいろある。
「悪魔は良いぞ? 殺せば殺す程力を奪い、強くなれるんだからな。お陰でスキルも大分貯まったぜ」
「ほう、殺して力を奪うのは本当らしいな。だが……奪った力を使いこなせるかはまた別の話だろ」
「はっ! いろいろ取得して使ってないスキルもあるが、強くなるために必要なスキルは、ちゃんと練習しているからな……今回は勝つ」
今まで6回戦ってるが、今のところ引き分けている。
強くなるために悪魔になるとか、馬鹿じゃねぇの?
ってか、プレイヤーも悪魔になれるんだな。
とりあえず、こいつを倒さないと他の奴がマズい。
「さっさと終わらせるぞ」
「やってみろ」
そうして俺とミキヤの戦いが始まった。
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