閑話1:誠実な者。

Side:とある住人



俺は仕事の募集を見て同じ村の者と一緒にその仕事をする事になり、ビルクマに乗って村から遠く離れた土地へやって来た。


山に囲まれ、人の出入りが無い大きな鉄の塊のような街。


ここはとにかく環境が酷く、臭いも酷かったが、暫く住むと臭いには慣れ、気にならなくなり、発注や材料の管理の仕事を日々こなしていく。


これが何に使われるのか、ここで何を作っているのかは初めの頃は知らなかったが、半年程経てば他の者が話しているのを聞き、徐々に分かってくる。


俺は一緒に村から来た者達にその話をし、ここをすぐにでも出ようと言うが、彼らは。


「そんな事は気にしなくていいだろ、金払いは良いんだし、兵器を作ってると言っても弾だろ? 俺達が気にする必要は無い」

「そうそう、俺達が使う訳じゃないしな」


と、みんなは気にしない様子で仕事を続けていたが俺は、一刻も速くこの仕事を辞めて村に帰りたいと強く思うようになり始めた頃、夜になり寝る前に突然頭の中に声が響いた。



『その街は数日以内に滅びます。今すぐ街を出て国を出なさい。他の者にも同じ神託が降りているでしょう』

「っ!?」


……滅びる!? この街が!? ……神託


俺は言葉を頭の中で繰り返し、ハッと気づきすぐさま行動に移した。


速くこの街を出なければ、村に帰って両親と妹を連れこの国を出る!

こうして俺は、夜の間に荷物を纏め街を出た。


山に囲まれているが抜け道はある。

その道を通って日が昇る頃には山を越え、休憩を挟みながらも村を目指して歩き続けて数日後、突然背後からとんでもない爆風が襲い掛かり、俺は少し吹き飛ばされてしまう。


地面に叩きつけられた俺は痛みを堪え、地面に手を突いて起き上がると振り返るとそこには、先程まであった山が消え、昨日まで居た街が消えていた。



あの声の言うとおり街は、神が滅ぼしたんだ。



後に、一緒に行っていた村の者は、資格が無かった事を知る。

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