17章 バルデン連邦
第1話 バルデン連邦目指して。
2日後の朝、ログインした俺は朝食を済ませ、オルデスト王国王都を目指す必要が無くなったので、このままバルデン連邦へ向かう事にする。
俺はさっそく取得した転移を使いニューケンスに転移し、先ずは探索者ギルドで登録を済ませる。
今後内陸の街に入るには、探索者ギルドか傭兵ギルドの身分証があった方が良いと思い、探索者ギルドに登録した。
勿論、キジ丸、シズキ、アリバで登録だ。
傭兵だと戦争に参加させられそうだしな。
登録を済ませると街を出て忍者姿でカゲに乗せてもらい、東へ向かう。
ここからバルデン連邦へ向かうには、オルデスト王国の東にある『コルバスタ帝国』を超えなければいけない。
結構掛かりそうだ。
暫く空を駆け帝国を目指していると、地上からいきなり大きな火球が飛んでくる。
まあ、カゲが簡単に避けてくれるので問題は無いが、いったいどこのどいつが打って来たのか確かめるため、カゲに向かってもらう事に。
『あの林の中に居ます』
『ああ、俺も感知した。このまま向かって木のスレスレまで行ったら、カゲは上昇してくれ、俺が捕縛して話を聞いたら始末するからその間は、周辺の警戒を頼む』
『はっ!』
そう念話で話し合うとカゲは、急降下を始めて木の手前で一気に上昇を始めると俺は、カゲの背中から飛び下り木の影に潜って影渡りで行こうかと思っていたが、丁度火球を打って来たので空蝉術で避けるとそいつの背後へ瞬間移動し、短刀を抜いて首に添える。
「拙者を狙うとは、どこの者だ?」
「っ!? い、いや、あんたが乗ってるなんて見えなかっただけだ! 俺は珍しい魔物を捕らえようと思っただけなんだよ!」
男は黒い外套を纏いフードを被っているが、隙間から見える服を見ると剣士風だ。
すぐさま看破で見ると名前は『ラムアン』で、職業は『魔法剣士』だった。
「ほう、それが本当なら見逃してやっていたが、拙者を騙せると思ったら大間違いだぞ?」
「な、何の事を言ってる?」
まだしらばっくれるか。
俺は奴の耳元で囁くように言う。
「周囲に居る者達はお前の仲間だろ? 隠れてるつもりだろうがバレバレだ」
すると男は急に態度を変え、叫ぶ。
「チッ、勘の鋭い野郎だな。おい! こいつをやっちまえ!! バレてるぞ!!」
その瞬間、周囲にある木の上から風刃、矢、雷球等が一気に飛来してきたので、俺は男の首に添えた短刀を引き首を掻っ切ると影に潜り、木の上に居る者の影に転移すると影から出て首を掻っ切る。
そうして木の上に居る者達、総勢5人の首を掻っ切ると少し離れて地上に居る者の影に転移し、影から出ると首に短刀を添えながら問う。
「何の目的で拙者を狙った? 答えないならこのまま死ぬだけだ」
「珍しい魔物を見たと聞いて、捕まえようとしただけだ」
ただのハンターか。
「お前達は、なんという組織だ?」
「組織? そんなんじゃねぇよ。今回一緒に狙うために集まっただけだ」
なるほど、心眼で視えないので本当の事っぽいな。
だがしかーし!
知らずに襲ったとしてもこれはアウトです。
「情報収集はきっちりやるべきだったな」
「なっ!? まっ……」
奴の首を掻っ切り始末した。
ここで生かしておけば、ハンゾウとしての噂が広まるからね。
悪いな、俺を襲った事が運の尽きだ。
しかし、こいつらは兵器を使っていなかったな。
こっちのハンターなら使ってそうだけど。
まあ良いか。
カゲを念話で呼び戻し、背中に乗って出発する。
あっ、死体は土に埋めたので問題は無い……はず。
その後、特に問題も無く空の旅を続け、約一週間程してコルバスタ帝国へ入った。
国境の山をカゲで超え、地上を見ると何やら団体さんが街道を歩いているのを発見。
カゲにゆっくり進んでもらいじっくり団体を観察すると、どうやらあれは傭兵の団体で、帝国に入ってどこかへ向かっている様子。
殆どの者が肩にライフルっぽい物を掛け、行軍しているので、どこか戦地へ向かっているのかもしれない。
ここは帝国だが『帝国領・スラットメリア地方』だ。
コルバスタ帝都はここから北東へ行ったコルバスタ地方にある。
まあ、帝都には行かないけどね。
カゲにスピードを上げてもらい、バルデン連邦へ向かう。
帝国内の街や村を幾つか空から見て思ったのは、そんなに疲弊している様子も無く、寧ろ元気で明るく見えるのは、戦争の影響はそんなに無いのかと思うが、それはそれでおかしな話だ。
戦争ばかりしてるのに、なぜ帝国は疲弊していないのか?
資源が豊富?
なら戦争をする必要は無いはず。
……謎だ。
そんな事を思いながら空の旅は続き、約二週間後。
帝国の東端へ到着し、俺は山の麓でカゲと昼飯を食いながら話していた。
勿論キジ丸の姿で。
「この山を越えた先がバルデン連邦だ。飯を食ったら行けるか?」
『はっ! ですが主、この山の頂上に大きな魔力を持った何者かが居ますが、どうしますか?』
……ここからじゃ俺には分からんな。
「魔王種か?」
『いえ、魔王種よりは小さいですね』
「ん~、無視出来るなら無視して行こう」
『はっ!』
魔王種ならボコボコにして契約しようかと思ったけど、違うなら無視だ。
今はとりあえずバルデン連邦に行く事が先決だしな。
飯を食い終わり一服するとカゲに乗って山を越える。
『あの辺りに居ます』
頂上付近まで来るとカゲがそちらを見て言うので、俺も目をやるとそこには、一軒家が建っていた。
こんな所に一軒家?
誰が住んでるんだ?
ってか、魔物じゃなくて人かよ。
いや、吸血鬼の可能性もあるけど、一応確かめるか。
『近くに降りてくれ』
『分かりました』
ゲームでこういう所に建ってる小屋とか家って気になるよね。
降りながら家を見ると、2階建てのログハウスっぽく。
家の周囲を木の柵で囲い、家の前には小さな畑が見える。
見た感じ結構綺麗な感じで、まだ新しい家なのかな?
木の柵で作られた外玄関?の前に降りると、カゲは外で待たせたまま忍者姿で中に入る。
すると突然声が頭の中に、年老いた女性の声が響いた。
『何か用かい? 珍しいね、影の者がまだ居たとは』
「うむ? お前は影の者を知っているのか? ここは何だ? 見かけたので寄ってみただけだが」
『ほう、この山を越える者が居るとは驚きだね、ちょっと話でもしようか、そのまま入っておいで』
すると正面の玄関が自動で開く。
……ここはきっとあれだ。
『魔女の家』だな!
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