第30話 神からの任務。

影の神に知りたい事を教えてもらえたので満足し、そろそろ地上へ戻る事を告げると送ってくれると言うので送ってもらう事にした。


すると最後に影の神が。


『最後に1つ、あなたに任務を授けます』


いえ、結構ですとは言えないかな?


「もちろん報酬はあるんですよね?」

『叶えられるものなら何でも叶えましょう』

「じゃあ、滅茶苦茶レアなスキルオーブ下さい」

『……良いでしょう。任務を達成した時、あなたのインベントリに送ります』

「あざーす!!」


ビシッと腰を曲げ綺麗にお辞儀すると、任務の内容を告げた。


『これからあなたが向かう国を、滅ぼして下さい』

「……ん? それはバルデン連邦の事ですか?」

『はい』

「滅ぼすというのは……」

『はい、あなたの思ったとおりの事です』


マジか。

バルデン連邦の人を殲滅しろと?


理由を聞くとどうやらバルデン連邦は、精霊を使った兵器を作り、世界を滅ぼす可能性があるとの事。


「確かオルデスト王国にもそんなのがあったような?」

『はい、それは帝国がバルデン連邦に対抗するため作られた、マナを使った兵器です。そちらは気にせずとも問題はありません。完成しないので、ただバルデン連邦の方は《精霊》を使っているのです。これは世界が崩壊しかねない要因となります』


なるほど、精霊を使った兵器ね。

って言うか、ソレスだっけ? あれが完成しないとは、じゃあ精霊獣はどうなる?


と気になったので聞くと、誘導しようとしている精霊獣は気性の荒い性格で、誘導は不可能だと影の神は言い切った。

なら、ここから出て王都へ向かおうかと思ってたけど、その必要は無くなったのか。



いや、戦争を終わらせてほしいという依頼があるからなぁ。

と思い、その事を伝えると影の神は。


『そちらは放置して問題ありません』

「戦争が終わるという事ですか?」

『はい、他のプレイヤー達が動いているので、後数ヶ月で戦争は終わるでしょう』


そうなのか。

ならすぐバルデン連邦に向かって問題無いかな?

……ん?


「バルデン連邦の方は根絶やしにせず、使おうとしている者を始末すれば済む話では?」

『いえ、例えその者を消しても次の者が出て来ます。なので、全員消す必要があります』


うむ、確かに始末しても新しい者が引き継ぐだろうな。



「発展し過ぎるとバランスが崩れる?」

『いえ、発展する事は良い事です。特に問題ありません、しかし、世界の崩壊に繋がる物を作るのは話が別です』


あぁ、そういう事か。

殲滅すると聞いた時俺は、管理AIに感情は無いと思ったがどうやら違うようだな。


神(管理AI)はこの世界を守るために『殲滅しろ』と言ったのか。

住人が優先ではなく、この『世界』そのものが優先だからだ。


そのためには、住人を殲滅する必要があればそうするって事ね。

まあ、このゲーム世界が終わるのは俺も嫌なので、やるしか無いか。


「分かりました。その任務、受けましょう」

『あなたが断れば、他の者を送るつもりでしたが、その必要は無さそうですね』


あっ、やっぱりそうなのね。

結局断っても殲滅は変わらないと。

それなら俺がやったろうじゃん!

スキル貰えるし。


一番は、良い訓練になりそうだしな。

……あっ、子供は自分の掟で殺さないと決めてるんだった。


「あー、子供は見逃しますが、良いですよね?」

『はい、あなたの掟は知っています。その代わり、政に関わる者は全て消して下さい』

「分かりました」


あっ。


「誠実な者も見逃しますが?」

『それは大丈夫です』

「ん? 大丈夫とは?」

『誠実な者には神託を下し、国から遠ざけます』


あっ、なるほど。


『ただし、後に兵器を作る可能性がある者は除外します』

「子供も神託って、親が居ない子供も居るか」

『はい、子供に神託は出来ません、職業を得ていないので』


職業を得ていないと神託は受け取れないのか。

なら仕方ないね。


影の神いわく、本来は全て殲滅だが、俺の掟を優先しての処置らしい。

有難い。


兵器の事を知っている者は全て殲滅ね。

どうやって見分ければ良いのか聞くと、影の神が教えてくれるとの事。

そして……。


『あなたの心眼スキルレベルならば、兵器の事を知っているかどうか見分ける事は可能です』

「心眼は少し先が視える事と、相手の考えが視えるだけじゃ?」

『例えば、兵器の事を知っている者を赤く光らせ、知らない者を青く光って視えるようにする事も可能です』


マジで?


『スキルも生物と同じで成長します。要は使い方次第です』


これは、全部のスキルの使い方を、いろいろ試してみないと。


破壊すべき街は、影の神がクエスト欄で指示をくれるというので、それに従い殲滅する。



まさか俺が国を滅ぼす任務を受ける事になるとはな。

まあ、神(管理AI)のお墨付きだ。

全力でやってやろう。


って言うか、連邦って幾つかの国が集まって出来てるんだよね?

滅茶苦茶デカくね?

……まあいいか。


そこで俺は、以前船から回収した箱を思い出し、これが兵器では? とインベントリから取り出して見せると、同じ兵器だがこれを使って悪魔を召喚しようとしていたらしいと影の神は言い、箱は影の神が処分してくれるとの事。


他の兵器もそうすればと聞くが、この箱は俺がお供えというか直接渡したので、問題は無いが、勝手に世界にある物を回収は、創造神(運営)に禁止されているというので納得。


ちなみに箱を処分と言ったが、中の精霊を解放し、元に戻してくれるって事だ。


ついでに、他の兵器も回収するよう、クエストに追加されてしまったよ。



話しが終わり影の神に地上へ転移で送ってもらう事になり、気付くと一瞬で飛び込んだ穴の前に立っていた。


流石神(管理AI)だな。

というか、俺も転移が出来るようになったはず!


俺は空を見上げ、そろそろ日が沈む頃だと思い、ここで訓練をして明日の朝出発する事にする。


さっそく時空属性の事をヘルプで調べるといろいろ分かった。



死んだ者の時間を戻して生き返らせる事は可能か? と考えていたがどうやら、肉体の時間は戻っても、魂の時間は戻せないようで、生き返る事は無いとの事。


つまり時空属性は、この物理世界にだけ干渉出来る属性のようだ。

なので、死霊の時間は止められないらしい。

設定が細かい!

いや、しっかり作り込まれてると言った方が良いか。


時空属性は時間を進める、戻す、止めるという事と、物の場所を移す、つまり転移だな。

それと、空間を広げるという事も可能らしい。

勿論転移も出来る。


しかし、これらは全て、かなりの魔力を消費するらしく、時間を進めるには倍の速さで進めるだけで1秒に約『MP1000』が必要との事。


これは戻す、止めるという事も同じ条件だ。

そして、転移。


転移は場所が離れれば離れる程MP消費が多く、最低でもMP1000は消費するという。

人が増えれば更に倍掛かる。


だがしかーし!

この転移はなんと、影渡りじゃ無理だったダンジョンの中へ転移出来るというのだ。

その代わり滅茶苦茶MPを消費するらいしけど。



空間を広げるというのは更にMPが多く必要で、空間を倍にするだけで『MP1万』は必要になるとの事。


これはあまり使う事は無いだろう。

あっ、収納ボックスとか作れるかも?

いや、無限インベントリがあるから必要無いか。

……商品にはなりそうだけどね。


試しに自分の家の部屋に転移して同じ場所に戻るとなんと『MP56482』を消費してました。


行きだけで『MP28241』を消費してる事になる。

細かい距離で計算されてるんだろうなぁ。


もっとMPを増やす訓練をするか。



その後、いつもの訓練を済ませ、土の中に入ると一旦ログアウトする。


次からは、バルデン連邦を目指し、滅ぼす!

あっ、ヒヨ達にどうやって説明しよう。



そして2日後、ログインした俺は土から出て朝食を食べながらヒヨにチャットを送る。

ログアウトしてる間にどうやって説明するか考えていたのだ。


『おは~、突然だけど、バルデン連邦を滅ぼす依頼を《ハンゾウ》が受けたので、俺とハンゾウがこのまま滅ぼします!』


送った後ドキドキしながらハンバーガーを食べていると、ヒヨから返事が来た。


『滅ぼす依頼って誰から!? 私ですらしてないのに!』


えっ、いや、そこ!?

ってか、依頼する気があったのかよ!


『依頼相手は言えないが、問題は無いので任せろ。ゼルメアに手を出した事もきっちり後悔させてやる』

『それは分かったけど、一応こっちは準備を進めるね。準備が出来たらゼロ君とアイちゃん(アイドール)も向かうから!』

『態々来なくても俺とハンゾウが滅ぼすけど?』


するとそこで、ゼロからチャットが入る。


『何言ってんだよ。俺も暴れたいから絶対行くぞ!』


流石戦闘狂!!


『まあ、仕掛けて来たのはあっちだからゼロ達がそうしたいならそれで良いと思うけど』


でもなぁ。

ゼロ達が来るとキジ丸でもやらないといけなくなるんだよねぇ。

そうなると新しい二つ名が付く可能性があるな。



国潰しの侍・キジ丸! とか?

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