第20話
君に伝えておこう――。
六地蔵リクオの部屋には、AI搭載のカメラとマイクがセットされている。
玄関には高精度で危険物を識別する金属探知機もある。異常音や異常行動を感知すれば、即座にこの医療センターをはじめ、この東棟に入る警備会社にも通知される。
入退室は完全管理され、マンションを出てからも緑地公園内にある無数のカメラが彼の行動を追う。
その管理体制とプライバシーの観点から、よほど危険な状態でない限り、リアルタイムでの監視体制は敷かない。
ただ今日の君のように、センターのスタッフが患者を訪問する際は、警備会社がリアルタイムで部屋を監視している。少しでも異変があれば即座に駆けつけ、自動的に警察にも通報される。
幸い――カコヨモの赤いインジケーターさえ灯っていれば、六地蔵は極めておとなしい。
彼が君に言ったように、ほとんど外出する事さえない。嬉々としてキーボードを叩いているだけで何の害もない。
まるでイースター島で永遠に立ち続けているモアイのようなものだ。
囲いこみは、見事に成功しているのだよ――。
真木はただただ圧倒され、言葉もなかった。
教授の話しを聴いていく中で、どの時点だったのか……。
真木は将来的な診療科目選択を精神科に決めていた。
この教授のもとで精神科医として、研鑽を積みたいと心から思っていた――。
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