第5話 君は僕で僕は君(5)


銀河:君は何を思ってるんだろう?今は何もわからない


銀河:君の演技は出会ったあの頃よりももっと輝いて見えている


銀河:それは東京に行っても評価されるべきだと僕も思う


銀河:東京なら電車で3時間はかかるだろう


銀河:遠距離恋愛っていうのも悪くは無いことだと思う


銀河:うるはの人生を大切にしたい


銀河:夢に向かって頑張ってるうるはを応援するのは当たり前だ


うるは:私は銀河君との思い出を振り返る


うるは:銀河君と、この地元で過ごした日々はすごく大切で私の中の宝物だよ


うるは:私が東京に出たら、あなたは何を思って、何を感じるんだろう?


うるは:私の夢は確かに大事だけど、それ以上に大事なものはなんだろう?


うるは:何度問い返しても答えは出てこない


うるは:あなたのことは大事なはずなのに、手を離したくないはずなのに


うるは:離さないといけない時が来ると胸にトゲが刺さるようにチクチクする


銀河:君は何を思うんだろう?


うるは:あなたは何を思うんだろう?


銀河:きっと、僕と同じように君も悩んでるはず


うるは:私と同じようにあなたも悩んでるはず


銀河:そうだ、いつだって僕達は似たもの同士


うるは:きっと今思ってることも同じなのかもしれない


銀河:気持ちはもう決まってる


うるは:私だって覚悟は出来てる


銀河:僕が東京に行くべきだと言っても、君は僕を選んでくれる


うるは:私が東京に行くと言っても、あなたは私を選んでくれる


銀河:そうやっていつも心を繋いできた


うるは:あの合言葉は心を繋ぐ合言葉だから


銀河:君は僕で


うるは:僕は君




銀河:………


銀河:君は僕で


うるは:僕は君


銀河:おはよう。うるは


うるは:おはよう。銀河君


銀河:今日も暑いな


うるは:ね、セミの音がうるさいよね


銀河:………


うるは………


銀河:本題に入ろうか


うるは:そうだね


銀河:どう?うるはは自分の中で答えは決まったの?


うるは:うん。決まったよ


銀河:……そっか


うるは:私さ、東京に行こうと思う


銀河:……え?


うるは:私の夢は女優になることだから、東京に行ってもっと活躍出来るように頑張りたいの


銀河:……そうだよな、うるはの大事な夢だもんな


銀河:僕もうるはは東京に行くべきだと思う


うるは:……え?


銀河:こんなチャンス無駄にしちゃダメだよ。うるはの演技は素敵なんだから


うるは:……うん、ありがとう


うるは:私たち、思ってることは同じなのかな?


銀河:……ああ、同じだよ


銀河:うるはの活躍を見守ってる。僕も小説を書くことを辞めないから


銀河:遠くに居ても同じ気持ちで居て欲しい


うるは:……うん。ありがとう




うるは:じゃあ行くね


銀河:うん。絶対にラインするから


うるは:ありがとう


銀河:毎日連絡するよ。ご飯何食べたとかなんのテレビ見てるとか


うるは:うん。毎日送ってよ


銀河:うるはが毎日楽しい日々を送れる事を僕は願ってる


うるは:私もそう思ってるよ


うるは:やっぱり私たちは考えてる事一緒だね


銀河:……うん。そうだね


うるは:じゃあ、時間になったから行くね


銀河:うん。頑張ってね。うるは


銀河:絶対に夢を叶えてね


うるは:うん。銀河君も小説家になる夢、諦めないでね


銀河:もちろんだよ


うるは:ばいばい


銀河:うん、じゃあね


銀河:(また明日とか、また来週とか、昨日までの僕達ならそう言えてたはず)


銀河:(遠くに離れていても心は繋がってると。そう胸を張って言いたいところだけど)


銀河:(遠くに行く君を追いかけられない僕の気持ちに嘘はないのだろうか?)


銀河:(同じ気持ちでいるはずなら。君はここに残ってくれるはずだった)


銀河:(自分の気持ちに嘘をついた場合は、僕の望んでる未来にはならない)


銀河:(そう気づいた時には君はもう君の夢を追いかけて遠くに行った)


うるは:(私たちは似たもの同士で同じ考え方を持っている)


うるは:(わかりきっていたことだけど、またどこかすれ違っている気がした)


うるは:(私たちの関係は痛みを半分に、幸せを2倍に出来る関係だったはず)


うるは:(でもどうしてこの胸の痛みは何倍にも膨れ上がってるんだろう?)


うるは:(私は女優になる夢を諦めてあなたのそばに居たい)


うるは:(口で言うにはあまりにも重すぎるからその言葉を飲み込んだ)


うるは:(あなたに変なプレッシャーみたいのは与えたくなかったからそうしたの)


うるは:(私の目指しているのは女優だから、自分の気持ちを押し殺さないといけない)


うるは:(それでもあなたが遠くに行ってしまうような、この感覚は押し殺せず胸に残ってしまう)


6話に続く

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